一人薬剤師はつらいことばかり?仕事内容やメリットを紹介!

一人で薬局を切り盛りする薬剤師のことを、世間的に「一人薬剤師」と呼ぶことがあります。飲食店などでも話題になったことがあるワンオペ勤務は辛い勤務でしかないのでしょうか?

一人薬剤師の仕事内容にはどのようなものがあるのか、一人薬剤師が抱えている悩みや不安を紹介していきます。

また、実は一人薬剤師には悩みなどの辛いことばかりではなくメリットもあると言われているので、そちらも併せて紹介していきます。

薬剤師としての働き方に悩んでいる人は、一人薬剤師も選択肢の一つに入れてみても良いのではないでしょうか。

一人薬剤師とは?監査や経営、処方箋の一日の枚数は何枚あるの?

一人薬剤師の調剤薬局は実際どのような運営をしているのか、薬の監査や経営面、調剤する処方箋の枚数といった観点から解説していきます。

一人薬剤師に興味がある人も転職を考えている人も、一人薬剤師の実態を知っておきましょう。

一人薬剤師の体制

一人薬剤師として薬局に立つ場合、その調剤薬局の処方箋応需枚数にもよりますが一日あたり30枚以上の処方箋を調剤することもあります。

もちろん監査や服薬指導、薬歴記入なども一人で行わなければならないので、通常の調剤薬局よりも精神的な負担は大きくなってしまうでしょう。

薬剤師の人員規制として、一日の処方箋の枚数上限を40枚までにしようという動きはありますが、それでも患者数によっては息をつく暇がないくらい忙しくなってしまうことは想像に難くありません。

一人薬剤師の薬局は待ち時間が長い?

患者として一人薬剤師の薬局に行く場合、監査や薬歴記載などを手分けして行う大規模な薬局と比べて待ち時間は長くなってしまいます。

ただし、その薬局に行けば絶対に同じ薬剤師に調剤してもらうことができるので、持病があって複数の病院から薬をもらっている人などは時間がかかっても一人薬剤師の薬局に行く方が安心できる場合もあります。

普段から自分がどのような薬を飲んでいるか、薬剤師に対してどの程度相談したいのかという要望に応じて一人薬剤師の薬局に行くか選択するのも良いでしょう。

一人薬剤師はきつい?一人薬剤師が抱えている悩み・不安とは

一人薬剤師の調剤薬局に勤める薬剤師は、そこならではの悩みや不安を抱えているものです。

一人薬剤師はどういった勤務がつらいのか、どういったことがストレスになってしまうのかという点を、実際の薬剤師の悩みや不安を元に紹介していきます。

休憩なしの完全ブラックの職場になってしまった

適宜休憩を取りながら調剤したいと思っていても、一人薬剤師の環境で患者が多い場合は休みを取ることもできないブラックな職場になってしまいがちです。

普段は二人体制の薬局で一人が休んでしまった時など、突発的なトラブルなら対応できる場合でも毎日休憩なしで調剤していると集中も途切れがちになり、身体的な疲労も大きくなってしまうものです。

なかなか人員の補充が難しい状況では、その状況に耐えられずに閉局や転職を考える薬剤師も後を絶ちません。

ミスが怖い

複数の薬剤師がいる調剤薬局であれば、監査や薬歴管理などはダブルチェックをすることができますが一人薬剤師の場合はそういったことも全て自分で行わなければなりません。

命に関わる医薬品を扱っているため、一人薬剤師は調剤ミスによって患者の命を危険にさらしてしまう恐れと常に向き合う必要があります。

どんなに休憩が取れずに疲れていても常に最高のパフォーマンスを発揮し続けなければならない一人薬剤師のプレッシャーはかなり大きなものであると言えるでしょう。

患者さんを待たせてしまう

具合の悪い患者が多い中で、待ち時間は大きなストレスになってしまいます。患者としてストレスになるのはもちろん、一人薬剤師自身も「待たせてしまっている」ということが大きな悩みになりがちです。

焦って調剤をするとミスをしてしまう恐れがあるので適当な調剤はできませんが、それでも処方箋の記載が多い場合などで時間がかかるとプレッシャーに感じる一人薬剤師は少なくはありません。

一枚の処方箋にかかる平均時間は約10分前後だと言われていますが、一人薬剤師の場合はそれより長時間になることもあるので、待ち時間も必然的に長くなります。

クレームがたくさん来る

患者一人一人との距離が近く和気藹々とした雰囲気を想像する人も多い一人薬剤師ですが、実はクレームが多いという現実に直面しています。

距離が近いからこそ些細なことでもクレームになってしまったり、前述したような待ち時間の長さで患者がイライラしてクレームになる場合もあります。

複数の薬剤師がいる環境と違い、全てのクレームの原因は自分になってしまうので、クレーム一つ一つが大きなストレスになってしまって一人薬剤師を辞めたいと感じている薬剤師も多いと言われています。

一人薬剤師は違法?

2019年時点では一人薬剤師自体は違法ではありませんが、労働環境によっては違法性が認められる場合もあるので注意しなければなりません。

特に処方箋の応需枚数が多くて休憩がほとんど取れない薬局は労働基準法に違反している可能性が高いと言われています。

また、調剤事務員がいる場合は忙しい時に調剤のピッキングを手伝うこともありますが、それも違法行為に当たってしまうので頼みごとをする際には頼んで良いことかどうか注意しなければなりません。

一人薬剤師はつらいことばかり?実はたくさんあるメリットを紹介

一人薬剤師の悩みや不安を紹介しましたが、実は一人薬剤師にはメリットもたくさんあります。

大きなストレスを抱えながらも一人薬剤師の道を選択する人はどういったメリットを目的としているのか、一人薬剤師でいることのメリットを紹介していきます。

人間関係で悩むことがない

薬剤師が複数いると、薬歴管理の方法や服薬指導の方法、監査などで人間関係がギスギスすることもありますが、一人薬剤師の場合はそのような悩みとは無縁でいることができます。

調剤事務員や登録販売者との人間関係の構築は当然ながら必要ですが、薬剤師同士の人間関係に悩まされる心配はなくなります。

同じ国家資格を持った薬剤師という立場だとプライドがぶつかるなどのトラブルも多いので、そういった人間関係に悩みたくない人は一人薬剤師が向いている場合もあるでしょう。

給料がいい

一人薬剤師は業務量も多くなってしまいがちですが、その地域では薬剤師の供給が少ないということから周りの調剤薬局と比べて相対的に給料が高くなります。

少し忙しくても高めの年収が欲しい人や、パートやアルバイト薬剤師として時短で働く場合は敢えて一人薬剤師の環境に挑戦するのもおすすめです。

ただし、先ほど解説したように処方箋の応需枚数が多いと休憩が取れなかったり時間通りに勤務できない場合もあるので事前に調べておくと良いでしょう。

患者さんとの距離が近い

数人の薬剤師がいるとなかなかかかりつけ薬剤師になるのも難しいので、患者さんのことを薬歴でしか把握できないこともありますが、一人薬剤師の場合は実質的にかかりつけ薬剤師として患者に接することができます。

服薬に関係ないその人の生活習慣を含めた悩みを聞き取ったり、どのような生活を送っているのかを細かく把握することができるでしょう。

古い調剤薬局のような処方箋以外のことも聞き取りつつの密接な関係を築きたい人は一人薬剤師がおすすめです。

薬局全体の仕事がわかる

複数の薬剤師がいると自分の得意な業務ばかりを行ってしまうなど薬局の仕事の一部分にしか携われないことも珍しくはありませんが、一人薬剤師は薬局全体に責任を持つ必要があるため一連の仕事を理解できます。

大手の調剤薬局チェーンの薬剤師として働くのではなく、将来的に自分で薬局を開局したいと考えている人は一人薬剤師を経験しておくと良いでしょう。

あまり忙しい薬局でなければ、調剤事務員の仕事など薬剤師の仕事以外に関しても知る機会を得られるかもしれません。

一人薬剤師がおすすめな人

良いことも悪いこともある一人薬剤師はどのような人に向いているのでしょうか。

一人薬剤師の素質がある人を3パターンに分けて紹介するので、大規模な薬局から一人薬剤師への転職を検討している人は参考にしてください。

人間関係に悩みたくない人

先ほど解説したように薬剤師が複数いるとトラブルが発生するリスクも大きくなってしまうので、薬剤師同士の人間関係に悩みたくない人は一人薬剤師を検討してみると良いでしょう。

薬剤師の数が増えれば増えるほど、特定の人の服薬指導だけ厳しくチェックするなどの薬剤師間でのいじめが発生することもあると言われています。

そうしたしがらみから逃れて自分一人で調剤とじっくり向き合いたい人は一人薬剤師を目指してみるのも良いのではないでしょうか。

忙しくても、高い給料が欲しい人

少し給料が低くても時間通りに働いて帰りたいという人もいれば、忙しさは苦にならないのでとにかく高い給料が欲しいという人もいるでしょう。

一人薬剤師は近隣の調剤薬局と比べても相対的に給料が高くなるので、後者のタイプの人は一人薬剤師を目指すことで年収の大幅アップを実現することも夢ではありません。

ただし、本当に忙しいと労働基準法に違反するほど休憩が取れない場合もあるので、実際にどれくらい忙しいか可能であれば事前に薬局の処方箋応需枚数を調べておいた方が良いでしょう。

スキルアップしたい人

一人薬剤師は処方箋の受け取りから薬歴管理、調剤や監査、服薬指導まで一人で行うので必然的に覚えなければならないことが多くなります。

毎日の業務量だけではなく新たに知らなければならない勉強量も増えてしまいますが、とにかく薬剤師としてのスキルをアップさせたい人も一人薬剤師がおすすめです。

経営者や調剤事務員との関係性によっては薬局の経営的な面を学べるなど、調剤以外の知識を得られる可能性も高くなります。

向学心が旺盛で、将来的に薬局の開局を検討している人はぜひ一人薬剤師を目指してみましょう。

一人薬剤師についてよくある質問

クエスチョン

給料の高さなどの魅力もたくさんある一人薬剤師ですが、複数の薬剤師が勤務している薬局と比べて母数が少ないため実態はあまり知られていません。

ここでは一人薬剤師に関してよくある質問を紹介していくので、薬剤師として働いている人はチェックしておくようにしましょう。

一人薬剤師は新人でも務まる?

新人から一人薬剤師をしたいという人はめったにいませんが、基本的には薬剤師経験がない人が一人薬剤師として働くのは非常に困難です。

いくら国家資格を持っていても最初からミスのない調剤や監査をできる人はめったにいませんし、万が一ミスをしたとしても誰も気付けない環境にあるため経営者としても新人を一人薬剤師として雇うリスクを冒す人はいないでしょう。

代々薬剤師の家庭で育っていて調剤業務すべてを一人で行いながらも後ろで誰かが監督してくれるという特殊な環境にない限り、新人は一人薬剤師として働くのはほぼ不可能です。

一人薬剤師を事務なしで行うことってできる?

事務員は処方箋を受け取って必要な書類などを印刷するなど、調剤や監査以外の業務をサポートしてくれる大切な存在ですが、事務員なしでも一人薬剤師として働くことは不可能ではありません。 

ただし大病院の前などに立地していて患者が絶えず待っているような忙しい薬局では事務員なしでの一人薬剤師は不可能でしょう。

ほとんど患者もいないような薬局で、ゆっくりと調剤以外の業務も行えるような環境でない限り事務員なしで薬剤師一人きりで働くのは難しいことを覚えておきましょう。

一人薬剤師でも楽な求人はどうやったら見つけられる?

一人薬剤師の求人を街中で見つけることもありますが、その求人が楽な一人薬剤師かどうかは就職してみるまで判定できません。

では、どのようにしたら一人薬剤師でも楽な求人を見つけることができるのでしょうか。とっておきの方法を紹介していきます。

転職サイトを活用する

自分の住んでいる地域でもなかなか薬剤師の求人を探すのは難しいものです。母数自体が少ない一人薬剤師の求人を探すのはさらに難易度が上がるので、転職サイトを活用して求人を検索しましょう。

転職サイトを使って一人薬剤師を探せば、求人を見つけるのが楽になるのはもちろん一日の処方箋の応需枚数なども事前に知ることができます。

一人薬剤師で楽な求人を見つけたい場合は、そうした情報がしっかり掲載されている求人に応募するのがおすすめの方法です。

一人薬剤師の求人を探すのにおすすめな転職サイト3選

薬剤師 転職

一人薬剤師の求人は倍率も高いので転職サイトを使ってもなかなか見つけることができません。

めったに巡り合えない一人薬剤師の求人を見つけられる可能性が高い転職サイトを3つ照会するので、ぜひ登録して探してみてください。

薬キャリエージェント

薬キャリエージェント 

薬剤師向けの転職サイトの中でも薬剤師登録者数が一番多い薬キャリエージェントは、当然ながら求人数も薬剤師向けの転職サイトの中では一番多いため、一人薬剤師の求人に巡り合える可能性が高くなります。

正社員だけではなくパートやアルバイト薬剤師の求人も検索することができるので、時短で一人薬剤師として働きたい人も絶対に登録しておくようにしましょう。

専門薬剤師の資格を持っていることなども登録できるため、難しい資格を持っている人ほど有利に一人薬剤師としての転職を進めることができるでしょう。

非公開求人に対する応募もできるため、一人薬剤師としての転職を検討しているのであれば真っ先に登録しておきたい薬剤師向けの転職サイトです。

ファルマスタッフ

ファルマスタッフ

ファルマスタッフも約20年間の歴史を誇る老舗の薬剤師向け転職サイトです。ファルマスタッフの特徴は求人数の多さだけではなく、拒否しない限りサイトの運営者と登録した薬剤師が面談できる点にあります。

自分の希望する働き方を専門のスタッフに話すことで、より詳細な希望を提示しながら一人薬剤師としての求人を見つけることができるでしょう。

実際に一人薬剤師の求人に応募した他の薬剤師の体験談や転職後の働き方の実態をスタッフを通して聞き取ることも可能です。

早期の転職を検討している人はもちろん、ライフスタイルにこだわって自分にピッタリの求人を見つけたい人、転職に絶対に失敗したくない人はファルマスタッフに登録して面談を受けてみましょう。

リクナビ薬剤師

リクナビ薬剤師

リクナビ薬剤師は転職時期にこだわって転職したい人に特におすすめの転職サイトです。転職時期は「一ヶ月後」から「半年後以降」まで選べるので、配偶者の転勤の帯同にも対応することができます。

また、もし現在の職場で薬剤師間での人間関係に悩んで転職を検討している人は、早めに転職することでストレスから解放される可能性が高くなるでしょう。

リクナビ薬剤師というと製薬会社向けの求人が多いというイメージを抱いている人も多いようですが、もちろん一人薬剤師を志望する人向けの求人も多く紹介されています。

働きたい時期だけではなく地域に関しても細かく希望を出すことができるので、通勤のストレスを減らしたい人もリクナビ薬剤師を使って一人薬剤師の求人を探してみましょう。

まとめ

薬剤師の働き方として一人薬剤師はまだまだ珍しいものですが、業務負担が多い反面人間関係のストレスから解放されたり多くのスキルを身に着けることができるなどのメリットもたくさん存在しています。

薬剤師が転職を検討する場合は大手の調剤薬局チェーンを中心に求人を探しがちですが、一人薬剤師などの働き方にも目を向けることで自分に合う職場に出会えるかもしれません。

今転職を検討している薬剤師は、ぜひ一人薬剤師も選択肢に入れて求人を探してみてください。