この記事では「薬剤師の難易度」について詳しく解説しています。
薬剤師になるにはどうすれば良いのか、薬剤師の試験はどれくらい難しいのかについて詳しく説明しているので、ぜひチェックしてみてください。
目次
薬剤師になるには
薬剤師は、薬の専門家として、病院や地域の薬局で働く職業です。
なりたいと思ったら誰もがなれる職業ではなく、まずは6年制の薬学部に入って薬学・薬理などを学び、大学を卒業して、薬剤師の国家試験の受験資格を得て、国家試験に合格する必要があります。
6年制の薬学部・薬学科を卒業する
まず、薬剤師になるには、6年制の薬学部・薬学科のある大学に入り、薬学の基礎や薬の作用、病気の知識をつけていきます。
はじめの4年間では薬の専門性を高める授業や実習が行われます。
5年次になると、学内を出て、病院での実務実習、そして地域医療を体験する薬局での実習をそれぞれ11週間行い、薬剤師としての実務経験を体験します。
そして、薬剤師の国家試験に向けての勉強もし、6年間の薬学課程を修了させることで、薬学部を卒業することができ、薬剤師国家試験の受験資格が得られます。
薬学部の中には、6年制ではなく、4年制の薬科学科などがある大学もありますが、それでは薬剤師国家試験の受験資格が得られません。
4年制の薬学部は、薬剤師としてではなく、主に画期的な薬を生み出す研究者になることを目指す人が対象の学科となります。
薬剤師国家試験に合格する
無事に6年制薬学部を卒業することができれば(見込みを含む)、次に薬剤師の国家試験を受けることができます。
薬剤師国家試験は、1年に1回(2月の下旬あたり)、2日間に渡って行われます。
受験する際は、卒業(在籍)している大学で願書の入手をし、必要書類を揃えて受験の申込みをします。
試験地は全国で9地点、数十か所の場所があり、受験申込みをすると、受験票とともに受験場所の記載がされており、その場所で受験することになります。
国家試験の内容は容易ではありませんが、各大学で、国家試験に向けての対策授業もあるので、それにしっかり取り組んでいれば、合格を目指すことができます。
合格発表は3月の下旬にありますが、合格しただけでは薬剤師として働くことはできず、そのためには、薬剤師の免許登録を行う必要があります。
薬剤師国家試験の内容と難易度
薬剤師の国家試験は、以前、薬学部が4年制だった頃とは出題の形式や内容が大きく変わっています。
出題問題の数も増え、より実践に近い内容が問われるようになってきました。
合格基準は、その年によって若干変わってくることもありますが、全体的な合格率で見ると、60~80%となっています。
試験概要
薬剤師の国家試験は、物理・化学・生物、衛生、薬理、薬剤、病態・薬物治療、法規・制度・倫理、実務に関することから、主に3つの分野に分かれて出題され、全部で345問からなるマークシート方式で解答する形式となっています。
一問一答形式で解答する問題、また、正しい答えがいくつか存在する中から、正しいすべての正解肢が含まれるものを選ぶ問題などがあります。
また実践問題として、実際に薬剤師の仕事の現場で取るべき対処方法を選ぶ問題や、薬の添付文書(説明書)を活用して解答する問題も出されます。
受験資格
薬剤師国家試験は、現在、6年制の薬学部を卒業していること(その年の卒業見込み者を含む)が必要です。
また、平成18年から平成29年度までの間に4年制の薬学部に入学した人では、4年制を卒業後、2年間の大学院に進み、薬学の修士課程、または博士課程を修了していれば、受験資格が得られます。
また特殊な例として、外国の薬学校を卒業しているか、外国で薬剤師免許を受けている人は、日本での薬剤師国家試験の受験資格が得られます。
試験内容
薬剤師国家試験は、主に次の3つの分野に分かれて出題されて、マークシート方式で解答します。
まず1つ目が【必須問題試験】です。
- 物理・化学・生物 15問
- 衛生 10問
- 薬理 15問
- 薬剤 15問
- 病態・薬物治療 15問
- 法規・制度・倫理 10問
- 実務 10問
以上の内容で、全部で90問、出題されます。
2つ目が【一般問題試験(薬学理論問題)】です。
- 物理・化学・生物 30問
- 衛生 20問
- 薬理 15問
- 薬剤 15問
- 病態・薬物治療 15問
- 法規・制度・倫理 10問
以上の内容で、全部で105問、出題されます。
3つ目が【一般問題試験(薬学実践問題)】です。
- 物理・化学・生物 15問
- 衛生 10問
- 薬理 10問
- 薬剤 10問
- 病態・薬物治療 10問
- 法規・制度・倫理 10問
- 実務 85問
以上の内容で、全部で150問、出題されます。
合格までの流れ
3月下旬の合格発表の日には、当日の午後2時以降に、厚生労働省のホームページで合格発表が出させます。
受験地別、また受験番号別に分かれているので、自分の受験地、番号を確認しながらクリックしていくと、それに合わせた合格者の番号が見られるようになっています。
また、厚生労働省の本省と地方厚生局、及び地方厚生支局に、受験地と受験番号が掲示して発表されます。
また2日ほどすると、厚生労働省から薬剤師国家試験の合格証書が郵送されてきます。
この郵送されてきた合格証書は、薬剤師免許の申請手続きに必要になるため、大切にし、早めに免許申請をします。
その免許申請の際には、自分自身の診断書や戸籍謄本など、他にも必要な書類がありますが、無事に手続きが済むと、厚生労働省の薬剤師名簿に自分の名前が登録され、厚生労働大臣からは薬剤師免許が交付されます。
試験難易度
試験の難易度は、合格率でおおよその予想が付けられます。
薬学部の新卒者と既卒者では、やはり新卒者に有利となりますが、全体で見ると60~80%の割合の合格率となっています。
合格は、試験の必須問題で70%の正答率が求められる足切ラインがありますが、その他では50%でよかったり35%でよかったりと、その年によって変化しています。
今後も変わる可能性はありますが、基本、全体としては、やはり70%以上の正答率が求められるでしょう。
大学によっては、卒業できるか(国家試験を受けられるか)を事前に見るところもあり、それに通れば国家試験の合格は見込めると思っていいかもしれません。
薬学部を卒業したら取得できる資格
薬学部を卒業すると、薬剤師以外にも、取得に有利となる資格があります。
たとえ薬剤師の国家試験に合格できなかったとしても、薬学部を卒業することで、その後に就ける職業の幅が広がります。
どのような仕事があるのか、そして薬学部を卒業することが有利になるのかを、いくつか挙げていきます。
登録販売者
登録販売者とは、市販で売られている薬(一般用医薬品)の販売を行うための資格です。
病院では、医師の処方がなければ薬をもらうことができません。
けれども、ドラックストアなどで、一般的な風邪薬や鎮痛剤などであれば、登録販売者が薬の説明や販売を行うことができます。
※一部の医薬品は、副作用や相互作用にとても注意が必要で、薬剤師でなければ販売できないものもあります(一般用医薬品の約1割)。
特に最近では、医療機関の負担を軽くするために、「自分の体調は自分で管理しケアをする」というセルフメディケーションが勧められています。
そのような場合に、力になれるのが登録販売者です。
薬剤師は、6年制の薬学部(薬科大学)を卒業しなければ国家試験の受験資格も得られませんが、登録販売者は、学歴に関係なく受験できます。
薬学部で勉強している人なら合格率も高くなり、登録販売者として仕事をすることも可能でしょう。
環境計量士
環境計量士は、計量法に基づいた経済産業省所管の国家資格で、環境に従事する仕事です。
その環境は、「濃度」と「騒音・振動」の2つの部門に分かれています。
まず「濃度」という部門では、工場や生活排水による汚濁物質の排出状況を検査したり、煙や空気中の有害物質などの濃度を測定します。
そして「騒音・振動」という部門では、工場や建設現場、道路や鉄道などにおいて、騒音や振動の大きさを測定します。
私たちが日々暮らしている環境を調査して、その結果を証明し、よりよい環境を作っていく、そして守っていく大切な役割を担っているのが、環境計量士です。
このうち、薬剤師に有利となるのが、「濃度」の部門での環境計量士です。
環境計量士の国家試験には、化学がベースとなった問題がたくさん出ますが、薬学部で学んだ知識が生かされることと、国家試験合格後に資格取得に必要となる講習が免除となります。
食品衛生監視員
食品衛生監視員は、食品衛生法に基づいて、食の安全を確保するための資格です。
海や空港の検疫所では、輸入される食品が日本の食品衛生法に適しているか、添加物のチェックをしたり、微生物や農薬のチェックをしたりします。
また、検疫感染症が国内へ持ち込まれないように、船や飛行機、また乗客に対して病原体のチェックや監視を行います。
また地方自治体の保健所では、飲食店の営業施設を調査し、営業可能かを確認したり、監視や指導、食中毒の検査、などを行います。
食品に対してカビなどの苦情や相談が入った場合には、その原因の調査や再発を防ぐための対策にあたります。
食品衛生監視員の資格は、薬学部を卒業することで試験はなく取得ができますが、上記の仕事は国家公務員または地方公務員となるため、実際に働くには、公務員として採用がある場合、そして公務員試験に合格できた場合となります。
労働衛生コンサルタント
労働衛生コンサルタントは、労働者の健康保持や衛生水準の向上を進めるために、企業などの事業者に対して、適正な労働環境を維持するためのチェックをしたり、問題がある場合には、その改善策を練って提供したりするための資格です。
労働衛生コンサルタントには、労働衛生工学と保健衛生の2種類があり、国家試験で取得できますが、合格率は低い傾向にあります。
受験できる条件がいくつかありますが、薬剤師であれば、保健衛生の部分の受験資格を得られます。
そして、試験の一部である「労働衛生一般」の科目が免除となります。
労働者すべての人が、心身の健康を保ちながら、快適に働くことができる社会を実現するために、労働衛生コンサルタントの活躍は期待されています。
水道技術管理者
水道技術管理者は、日本の水道法において、水道事業(上水道や簡易水道、専用水道)の設置者が必ず設置しなければならないと定められている技術面での責任者です。
水道施設が水道法の規定による施設基準に適しているかどうかを検査したり、水質検査や水の塩素消毒など、衛生上の措置の実施をしたりします。
また、水道施設に従事している人についての病原体の検査や、水道施設への関係者以外の人や動物の立ち入り防止策を練ったりします。
水道技術管理者の資格は、薬学部を卒業していれば、水道技術管理者の管理を要する施設(水道事業、水道用水供給事業及び専用水道)において、水道に関する技術上の実務に4年の実務経験を積むことで取得できます。
その気になれば誰でも薬剤師を目指せる
薬剤師になるためには、医師と同じように6年間も大学に通う必要があります。
そう考えると、とても大変なことのように感じますが、他の学部で大学に4年間通った後に、さらに大学院まで進む学生の方もいることを思えば、それほど特別なことではないかもしれません。
大学での単位取得に必要な科目は、ほとんど決まっていて、それを確実に取得できれば、6年制の薬学部を卒業し、そして薬剤師国家試験の受験資格が得られます。
そして、あとは薬剤師国家試験に合格できれば薬剤師になることができます。
薬剤師になって医療に関わり、少しでも世の中の人の役に立ちたい。そう思うのであれば、是非、まずは薬学部入学を検討して、薬剤師を目指してみましょう。
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薬剤師になるためには、まずは6年制の薬学部に入ること、そして入学できたら、その6年間の課程をしっかり取り組み、卒業することが必要です。
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薬学部に入学、そして国家試験に合格することは、けして容易ではありませんが、将来を担う医療関係者の一員として働くことは、とてもやりがいのあることとなります。
人々の健康を支える薬剤師を目指す人が増えることを願います。