海外で薬剤師として働くには?年収や働く方法まで徹底解説!

この記事では、海外で薬剤師として働く方法について詳しく解説しています。

アメリカを始め、オーストラリア・イギリス・韓国・アジアなど、多くの外国との年収・働き方比較をしているので、ぜひチェックしてみてください。

日本の薬剤師資格で働けるところはほとんどない

日本の薬剤師資格のみで、海外にて薬剤師として働くことができる国はほとんどありません。

ほとんどの国で、その国の薬剤師試験に合格し、薬剤師免許を新たに取得する必要があります。国籍がなければだめとしている国もあるので注意が必要です。

しかしながら、タイやシンガポールなどの一部の国では、日本の薬剤師免許のみで働ける国もあります。

その他、留学生や研修生という名目であれば、海外において、その国の薬剤師免許なしに薬剤師として学ぶことが可能な国もあります。

海外で薬剤師として働くには?

海外で薬剤師として働くには、

  • その国の薬学系の大学・大学院を卒業する
  • 日本の薬剤師免許を活用して、薬学系の大学院に編入する
  • 日系企業に就職し、その企業が展開する海外の店舗で働く

という方法があります。

それぞれ詳しく見ていきましょう。

方法① その国の薬学系の大学・大学院を卒業する

海外で薬剤師として働くためには、その国の薬剤師免許を取得しなければいけないケースがほとんどです。

その国の学生同様、その国にある薬学系の大学や大学院で学び、必要なカリキュラムを経ると、薬剤師試験の受験資格を得ることができます。

必要とされるカリキュラムは国により異なり、必要年数もさまざまです。日本は6年間ですが、海外は4年間としている国もあります。

また座学による教育のみならず、インターンシップなどの臨床研修を課しているケースも多く存在します。

臨床研修は大学のカリキュラムに組み込まれている国もあります。

また薬剤師試験は一度きりの国もあれば、何段階があり、一次試験合格の段階では仮登録のような状態で扱われる国もあります。

方法② 日本の薬剤師免許を活用して、薬学系の大学院に編入する

日本の薬剤師資格を所持していると、大学で学ばなくてはいけないカリキュラムを削減できる優遇措置を取っている国があります。

大学をスキップして大学院から編入できるようにしている国もあれば、大学の2年次もしくは3年次から編入できるようにしている国もあります。

その他、外国で薬剤師免許を所持する人向けに、自国民向けの薬剤師試験とは別に、独自の薬剤師試験を作成する国もあります。

外国人向けの試験に合格するだけで薬剤師として働ける国もあれば、試験に加え、語学力の証明もしくは語学試験を科している国もあります。

さらにその国独自の制度についての教育、およびインターンシップなどの臨床研修も追加で科している国もあり、対応は国によって様々です。

方法③ 日系企業に就職し、その企業が展開する海外の店舗で働く

タイやシンガポールなど日本人が多く滞在するアジアの国の一部では、日本の薬剤師資格を所持していれば、現地の薬剤師資格を不要としている国もあります

求人のほとんどは日系企業が展開する日本人向けの病院やクリニックでの勤務です。

経営する日系企業に入社して、海外店舗に配属となります。海外で働きたい薬剤師によって、一番最短ルートの方法かもしれません。

主に現地駐在の日本人を対象にサービスを展開しているため、患者の大部分は日本人、下手したら病院の同僚のほぼ日本人で占められている例も少なくありません。

そのため英語はそれほど求められることはなく、現地スタッフとコミュニケーションができる程度であればよい場合があり、海外勤務のハードルは低くなっています。

【国別】薬剤師になる条件や年収、働き方の違い

薬剤師 辞めたい

国によって、必要なカリキュラムや臨床研修の年数、語学力など薬剤師になるための条件は異なります。

また国よって薬剤師の社会的な地位は大きく異なり、社会的地位の高い国ほど一般的に年収は高くなる傾向があります。その他、担える業務内容などの働き方も大きく異なります。

アメリカ

まずはアメリカで薬剤師になる方法、年収、働き方について詳しくご紹介します。

薬剤師になる条件

アメリカで薬剤師になるには、アメリカの薬剤師免許が必要です。

FPGEEという外国人向けの薬学試験に合格し、TOEFLやTSEにて語学力を証明したら、認定証が発行されます。

その後インターンで臨床研修を州で指定された時間行うことで、アメリカの薬剤師国家試験(NAPLEX)の受験資格を得ます。

その他、アメリカの大学および大学院に入り、薬学博士となることで、インターンでの臨床研修、NAPLEXというルートでも、薬剤師になることができます。

年収

アメリカの薬剤師の平均年数は約1375万円であり、日本の薬剤師の平均年収である約540万円をはるかに上回っています。

アメリカの公的保険制度は国民全員には適応されておらず、また民間保険は高額です。

そのため国民のほとんどはドラックストアや薬局で薬剤師からセルフメディケーションとして薬を入手します。

薬の幅広い知識を有し、相談にのってくれる薬剤師は、アメリカ国民において最も信頼できる職業と考えられており、高い社会的地位が年収に結びついています。

日本との働き方の違い

アメリカには薬剤師の他に、ファーマテクニシャンと呼ばれる人物が、処方箋の受付、薬剤の調整、レジ打ちなどを行い、薬剤師の助手的な存在として働きます。

そのため薬剤師は彼らのサポートを得て、患者とのコンサルティング、医師の処方内容の監査など、高度な知識と技術を必要とするより専門的な業務に専念します。

州によっては、処方権や予防接種の実施権が薬剤師に付与されている場合もあり、日本よりも担う業務範囲が広いのが特徴です。

オーストラリア

続いて、オーストラリアで薬剤師になる方法、年収、働き方について詳しくご紹介します。

薬剤師になる条件

オーストラリアで薬剤師になるには、オーストラリアの薬剤師免許が必要です。

基本はオーストラリアの薬学部で4年学び、1年のインターンシップを行います。

州により決められた時間のインターンシップをこなし、その時間内で様々な試験に合格することで薬剤師になれます。

日本の薬剤師免許を保持している場合は、大学2年次に編入もしくは大学院に編入することが可能です。

その他KAPSと呼ばれる学科試験に合格し、英語力をOETなどの試験で証明すれば、インターンシップからスタートすることも可能です。

年収

オーストラリアの薬剤師の平均年収は約400~500万円と、決して高くありません

これは大学の薬学部新設や定員数が大幅に増えた影響などにより、薬剤師の人数が飽和しているのが一因です。

しかし経験を積むにつれ年収はUPしていくのが一般的であり、Grade2や3では約600万、マネージャークラスでは約750万、シニアクラスでは約850万の年収が相場です。また働く場所により収入は異なります。一番相場が高いのは公立病院の薬剤師であり、時給に換算すると3000円ほどと言われています。

日本との働き方の違い

オーストラリアの薬局は2012年のデータで比較すると、1店舗あたり、日本の1.8倍多い住民をカバーし、応需する処方箋数は4倍以上となっています。

業務負担が大きくなることが予測されますが、包装単位で調剤するため、シートを処方分カットしたり輪ゴムでまとめたりといった作業が発生しません。

ピッキングの時間および調剤監査の時間の短縮につながっています。

また薬歴記載が必須ではなく、患者との話の中で知り得、薬学的介入が確認された場合のみ薬歴を作成するため、時間短縮につながっています。

カナダ

続いて、カナダで薬剤師になる方法、年収、働き方について詳しくご紹介します。

薬剤師になる条件

カナダで薬剤師として働くためにはカナダの薬剤師免許を取得しなければならず、国家試験と州の試験の両方に合格する必要があります。

日本の薬剤師免許を所持していれば、試験を受ける権利を有します。

審査試験に合格し、カナダで薬剤師を行うための講義と実技(薬局研修)を受け、薬剤師国家試験を受験・合格すると、州の薬剤師試験の受験資格が与えられます。

州の薬剤師試験に合格すると、州の薬剤師会に薬剤師として登録されます。

年収

カナダの薬剤師の年収は、州により、また経験年数により大きくバラツキますが、2015年のデータによると平均年収は約750万円です。

20年以上の薬剤師経験があると、5年以下の新人よりも約100万円は年収が高く、州間では最大150万以上の年収差があると言われています。

総じて日本の薬剤師よりは年収は高く設定されています。

薬剤師はカナダにおいて、牧師・外科医と合わせて、国民に信頼される職業トップ3に数えられる職種であり、その薬に関する高い知識に国民が信頼を寄せています。 

日本との働き方の違い

カナダは日本と同様に国民皆保険制度があります。基本的に医療費はすべて無料ですが、薬代は自己負担で、国民の多くは個人で医療保険に加入しています。

そのため個人ごとに異なる保険対応が必要です。

またカナダは新規で受診しようとすると、数か月先しか診てもらえないなど、病院へのアクセスが非常に悪いです。

そのため薬剤師には、医師の処方箋なしに薬を処方する権利や、用量・剤型・同系統への薬剤へ変更する権利などが認められている州があり、日本と大きく異なります。

イギリス

続いて、イギリスで薬剤師になる方法、年収、働き方について詳しくご紹介します。

薬剤師になる条件

イギリスで薬剤師になるには、イギリスの薬剤師免許を取得する必要があります

日本の薬剤師免許を保持している場合は、OSPAPというコースを受講および試験に合格することで大学卒業と同様に扱われます。

薬剤師免許を保持していない場合は、イギリスで4年間の薬科大学に通い、修士学位を取得する必要があります。

その後、プレレジという1年間のインターンシップを経験し、英国薬学総評議会による薬剤師資格試験に合格し、登録されると、薬剤師になれます。

年収

イギリスの薬剤師の平均年収は約600700万円といわれており、日本の薬剤師平均年収の約540万円を上回っています

新人は約450万円からスタートし、マネージャーなどの責任者になると年収は約1000円近くになるのが一般的です。

イギリスには薬剤師の他、ファーマシー・テクニシャンという職種があり、調剤などはテクニシャンが行います。

薬剤師は病棟での患者対応、監査業務などより専門的な業務を担っており、その分日本より年収が高くなっているものと思われます。

日本との働き方の違い

イギリスは医療費が全国民無料となっています。国民1人1人に家庭医がおり、まず家庭医を受診することとなっています。

しかしながら、医師不足により新規受診は数週間後というケースが散見されます。そこで、医師不足を補う目的で薬剤師が注目されています。

薬剤師は慢性疾患治療薬の処方権も有しているため、国民は薬局で薬剤師に健康に関する相談をするのが一般的です。

イギリスの薬局にはカウンセリングルームがあり、カウンセリング内容は家庭医に共有され、薬剤師は医師と同等の地位で働いています。

韓国

続いて、韓国で薬剤師になる方法、年収、働き方について詳しくご紹介します。

薬剤師になる条件

韓国で薬剤師になるためには、韓国の薬剤師免許が必要です。

免許を取得するためには、大学の薬学部で6年間学び、国家試験である薬学大学入門資格試験(PEET)に合格しなければいけません。

しかし日本の薬剤師免許を保持している場合には、大学に入学することなくPEETの受験資格が与えられます。

最近では韓国内の激しい大学受験競争のため、韓国人が日本に留学し、日本の薬剤師免許を取得して韓国に戻り、PEETを受験し、韓国の薬剤師になるケースも聞かれます。

年収

韓国内では薬剤師の社会的身分は非常に高く、国民が尊敬する職業ランキングではいつも上位にランクされています。

平均年収は約600万円であり、一般会社員の2倍以上です。内科医の平均年収が約750万ですから、医師よりは低いですが、同程度に近い収入を得ています。

韓国は物価が安いため、年収600万は日本相場に換算すると約1000万円に相当します。東洋医学と西洋医学の両方の薬剤師が存在しますが、どちらの社会的身分も高く、特段年収に差はないと言われています。

日本との働き方の違い

韓国の薬剤師をめぐる環境は日本と大きな差はありません。人口あたりの薬剤師数も似通っています。

韓国は日本と同様医薬分業のため、医師の処方箋に基づき、薬剤師が調剤を行います。

ただ日本が任意分業であるのに対して、韓国は強制分業(完全分業)で、処方した医療機関とは異なる薬局で薬剤を処方してもらわなければいけません。

勤務地は病院と薬局があり、薬局が日本に比べると多く存在します。

日本人は法律で韓国内の薬局の経営者になれませんので、薬局勤務の際は店舗に雇われるという形になります。

タイ・シンガポール(アジア)

続いて、タイ・シンガポール(アジア)で薬剤師になる方法、年収、働き方について詳しくご紹介します。

薬剤師になる条件

タイ・シンガポールでは日本の薬剤師免許のみでも薬剤師として現地で働くことが可能であり、その活躍の場は日系の病院やクリニックがほとんどです。

患者さんも日本人が中心であるため、英語やタイ語、中国語などができなくても問題ないとしている求人もあります。

両国ともに日系企業が多く進出しており、日本人の駐在員が多いため、このような需要が多く生まれています。

日本の薬剤師免許で海外勤務を目指す方には、求人も定期的に発生しますので、お薦めです。

年収

タイ・シンガポール両国ともに、平均年収は420万円ほどと考えられています

タイの物価は日本の1/3~1/5と言われています。

シンガポールの物価は年々上昇しており、ホテルやレストランではほぼ日本と同等、ローカルなエリアでは日本の半分の物価設定も見られます。

そのためシンガポールでは日本の相場に換算すると日本と同程度、もしかしたら日本よりも低水準な年収となるかもしれません。

一方タイは日本の相場に換算すると、日本を上回る年収が期待できます。

日本との働き方の違い

シンガポールには国民健康保険はありません。その代わり、国民は別のシステムで強制的に医療費の積立をおこなっています。

安く利用できる医療機関は限られており、良い医療を受けようとするコストがかかり、積立が枯渇する事態となってしまいます。

同様にタイでは1人あたり利用できる医療費に限りがあるシステムであり、両国民は医師の診察を受けるより、薬局で薬剤師に相談して薬で対応するのが一般的です。

日本と比較してコンサルティング業務の比重が高くなります

海外事情や求人検索が不安な人はプロに相談しよう

海外の薬剤師を取り巻く環境は日本と大きく異なる場合があります。また薬剤師免許の取得方法や求人への応募方法なども国により異なります。

その国の事情に精通していない方は、プロの転職エージェントに相談するといいでしょう。

薬キャリエージェント

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薬キャリは東証一部上場企業であり、さまざまな医療業界向けのサービスを展開する「エムスリーグループ」が運営する、薬剤師向けの転職エージェントです。

薬キャリの強みは、コンサルティング力が優れているため、的確な求人を紹介してくれ、ミスマッチが起こりにくいという点です。

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ただしフォローが細かいためか、「連絡が多すぎる」「少々しつこく感じる」という口コミもあります。

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マイナビ薬剤師

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ファルマスタッフ

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まとめ

海外で薬剤師として働く際には、国により薬剤師免許の取得方法、日本の薬剤師免許の活用方法、年収、薬剤師に任せられる業務範囲などが大きく異なります。

残念ながら、日本の薬剤師免許のみで海外で薬剤師として勤務できるケースはごく稀なのが現状です。

働きたいと願う国で薬剤師免許を取得するための最短ルートや必要書類、薬剤師に求められる内容、その国で働くメリットを十分に考慮した上で、行動を起こすことをお薦めします。