製薬会社で働く薬剤師の仕事は?メリットやデメリットも紹介

製薬会社で働くことを検討している薬剤師さんはいませんか?

この記事では、製薬会社の仕事内容や年収、働く方法についてご紹介します。

製薬会社で働く薬剤師とは

2016年のデータによると、薬剤師の登録者は約30万人です。そのうち、製薬会社で働いている薬剤師はおよそ4万2千人です(全体の13.9%)。

製薬会社で働く薬剤師は、薬剤師全体に占める割合はそう多くありません。どのような仕事をしてどの位の収入があるのでしょうか。

製薬会社で働く薬剤師の仕事内容

病気やケガを治療するのに必要な、医薬品を開発し、生産販売することが製薬会社の仕事です。

医薬品は、医師から処方される医療用医薬品と、薬局やドラッグストアで販売される一般用医薬品(OTC医薬品)があります。

取り扱う医薬品は、従来とは違う効果を持つ、専門性の高い商品が増えています。

医薬品の他、食品や化粧品などのヘルス&ビューティーケア分野や農業、再生医療など幅広く事業を展開している製薬会社もあります。

グローバル化が進んで、海外を相手にする仕事も増えてきています。

製薬会社で働く薬剤師の職種

製薬会社にはさまざまな職種があります。

研究職

医薬品の候補を探し出す基礎研究と、その候補成分の薬効や安全性を動物で確認していく試験が仕事です。研究所内での実験がメインになります。

開発職

候補となった化合物を医薬品として実用化するため、臨床試験を行うことが仕事です。新薬の承認申請書の製作にも関わります

その他、治験実施計画書(プロトコル)の作成や、治験データの収集、分析を行う仕事もあります。

治験職

医薬品としての効果や安全性を確認する、治験に関する仕事をします。

治験は会社内ではできないので、病院などの施設に依頼することになります。

治験コーディネーターは、治験を行う施設側をサポートする仕事で、被験者のスケジュール管理、相談窓口、治験のデータ収集などを行います。

薬事職

新医薬品の承認申請のために、関係機関や社内部署との折衝が主な仕事になります。

具体的には、医薬品としての品質、有効性、安全性を記した文書の最終チェックをしたり、提出先である機関からの質問や要望に対応します

学術職

自社製品の情報を管理する、競合商品情報の取集・管理、MRの情報提供のサポートなど、医薬品情報を扱う仕事です。自社MR向けの勉強会や外部の病院や勉強会に出向いて製品の説明会を行うこともあります。

MR

MRとは医薬情報担当者(Medical Representative)です。自社製品の安全性や有効性などの情報を、医師や薬剤師に提供することが仕事です

以前は自社製品の販売促進活動を行い、自社製品を売り込んでいくこともありました。最近は医薬品に関する情報収集の仕事が増えてきています。

製薬会社で働く薬剤師の平均年収

製薬会社の職種別の平均年収は次のようになっています。

職種平均年収
研究職700万円~1000万円
開発職700万円~1000万円
治験職300万円〜500万円
薬事職700万円〜900万円
学術職350万円〜600万円
MR職660万円〜700万円

研究職の平均年収

平均年収は700~1000万円です。外資系の場合、見つけ出した成分が医薬品になり、その売れ行きがいいと、ボーナスが出ることがあります。

能力により、30代で年収は1000万円を超えることもあります。

開発職の平均年収

平均年収は700~1000万円です。研究職との差はあまりないようです。ただ、開発職には、研究職のように医薬品が売れて特別ボーナスが出ることはありません。

転職により、年収が上がる人がいます。

治験職の平均年収

治験コーディネーターの平均年収は300~500万円です。実績を重ねて行って、年収は600万円の人もいます。

薬事職の平均年収

平均年収は700~900万円です。低くても年収は500万円、外資系だと年収は1000万円を超えることもあります。転職により、年収が上がる人がいます。

学術職の平均年収

平均年収は350~600万円です。年収が700万円というのは稀です。

MR職の平均年収

平均年収は、平均年収は660~700万円です。製薬業界ではない営業職より高いといわれています。

日当やMR手当という他の職種にはない手当があります。MRの年収は、個人の業務評価や年齢により大きく差があります。

大手製薬会社MRの平均年収は次の通りです。

会社名平均年齢平均年収
武田薬品工業40.0歳959.6万円
エーザイ43.8歳1093.9万円
第一三共43.0歳1092.3万円
アステラス製薬42.3歳1068.7万円
大塚ホールディングス45.1歳1115.6万円

製薬会社で働く薬剤師の初任給

職種初任給年額(諸手当も含む)
研究職・開発職月給25万円程度(修士卒)
月給28万円程度(博士卒)
350万円~450万円
治験職・治験コーディネーター月給25~30万円450万円~500万円
薬事職月給20~24万円(学部卒)
月給25万円(6年生卒・修士卒)
300万円~400万円
350万円~400万円
学術職月給20~24万円(学部卒)
月給25万円(6年生卒・修士卒)
月給28万円程度(博士卒)
300万円~400万円

350万円~450万円

MR職月給20~24万円(学部卒)400万円~500万円

研究職、開発職ともに、大学の修士か博士課程まで終えた人が多く、初任給は高めです。

治験職は資格職なので、経験や研修が必要です。その分初任給は高めになります。

薬事職には、他部門で製薬会社の社員として働いた後、配属されることが多いです。他の社員と同等の初任給となります。

MR職の部署に配属されても、まずは社内で研修を受けることになっています。その間は日当やMR手当が付きません。

医療関係者への情報提供の仕事を行うと、手当が付きます。結果、月給は上がります。

日当やMR手当は会社により金額、名目ともに様々です。

薬剤師が製薬会社で働くには

薬剤師の資格があれば、製薬会社に就職し、自分が志望する部署に配属される訳ではありません。さらに必要な資格やスキルがあります。

就職する時に持っていることを求められることと、就職してから取得するよう求められることがあります。必要とされることは、職種により違います。

研究・開発職に就くには

研究・開発職は、薬学部だけでなく、多くの理系大学院生が就職を希望します。薬学部出身でも、修士卒か博士卒でないと、就職は難しいといわれています。

実験の計画を立て、実行する能力は必須です。なかなか結果の出ない研究にも、粘り強く真摯に取り組む倫理観も必要とされます。

海外の論文を読みこなし、会社によっては外国人の同僚とコミュニケーションをとれる語学力も必要です。

研究・開発職は、修士、博士課程を修了する過程で身に付けるスキルが必要とされています。

治験・薬事・学術・MR職に就くには

治験職、薬事職、学術職は、会社の定員に空きがないと募集されません。会社によって違いはありますが、新卒での採用はなかなか無いのが現状です。

治験職の治験コーディネーターは、資格職です。講習を受けるか実務を積んでから出ないと仕事に就けません。

薬事職は医薬品の知識だけでは務められません。医薬品申請のための法律、用語の知識も必要です。海外向けの仕事も増えてきており、語学のスキルも必要とされています。

MR職は、就職後、MR認定試験に合格し、5年毎の更新を求める会社もあります。医療関係者に問題なく対応できる、コミュニケーション能力は必須です。

薬剤師が製薬会社で働くメリット

薬剤師資格を持っていると、働くことのできる職場は数多くあります。その中で、製薬会社は多くのメリットがある選択肢です。

製薬会社は、会社の規模が大きく、組織や制度がしっかりしています。それによるメリットは大変魅力的です。

薬剤師が製薬会社で働くメリット① 年収が高い

薬剤師職場別年収ランキングによると、

平成29年度調べ業種平均年収
1位製薬会社650万円
2位病院575万円
3位調剤薬局550万円
4位ドラッグストア400万円

となっています。

薬剤師の職場で、年収が一番多いのは製薬会社です。

製薬会社は、給与査定の基準が明確で、賞与や各種手当などの制度も整っており、その金額も高めです。

初任給は他の職場に比べて高くはありません。業績が安定している企業がほとんどで、昇給が毎年行われ、年収は高くなりやすいです。

薬剤師が製薬会社で働くメリット② スキルアップしやすい

製薬会社は新入社員が多く、入社当初から社員教育のシステムが充実しています。

会社組織の部や課が細分化されており、仕事内容は専門化しています。配属先での教育もしっかり行われるので、専門的知識を身に付けることができます。

組織が大きいと、上司や同僚も数多くいます。解決に悩む問題が起きても、相談しながらその問題に取り組むことができます。

製薬会社の扱う仕事の規模は大きいので、こなさないといけない仕事の数も多くなります。経験を数多く積むことができ、働いているうちに自然とスキルアップしていきます。

薬剤師が製薬会社で働くメリット③ MRなら他の仕事に生きるビジネススキル・マナーが身につく

MR職は、売上目標が提示され達成することを求められます。

そのためには、商品の勉強は勿論、人間関係を構築するスキル、情報収集スキルなど多くのスキルを使いながら、仕事をすることになります。仕事の過程で、ビジネススキルやマナーも身につけられます。

仕事相手の医療関係者に、面会の約束を取り付けるところから、面会時、質問や要望への応じ方まで、失礼にならないようなビジネスマナーがないと話を聞いてくれません。

このようなビジネススキルやマナーは製薬業界だけでなく、他の業種の営業職にも求められるものです。

薬剤師が製薬会社で働くメリット④ 福利厚生が充実している

製薬会社は、住居手当や扶養手当など各種手当が充実しています。特に住宅手当は手厚く、アパート並みの家賃で、マンションに住めるという話はよく聞きます

キャリアアップのための資格取得支援や書籍購入費支援を行っている会社もあります。

MRの地域・時間限定雇用制度、女性管理職を増やす取り組みなど、女性の働きやすさを考えている企業も見かけられます。

在宅勤務やフレックスタイムの導入など、自己裁量で仕事ができる環境もあります。

休暇を取りやすくしたり、残業を減らすように取り組んでいるなど、社員のワークライフバランスを考える会社が増えています。

薬剤師が製薬会社で働くデメリット

メリットの多い製薬会社ではありますが、デメリットもあります。

給料がよく、福利厚生もしっかりしているとなれば、人気がある職種です。そのために起きるデメリットや、大企業ならではのデメリットもあります。

薬剤師が製薬会社で働くデメリット① そもそも倍率が高い

医療業界は、病気がなくなることはないので、景気に左右されることが少ないといわれています。

それで、製薬会社は安定した企業経営を行っているイメージがあり、社員の給料もよいので常に就職先として人気があります。

就職希望者は理系出身の人が多いのですが、文系出身でも就職するチャンスがあります。

また、定員に空きがないと採用がない職種や、採用があっても人数が多くありません。比較的多いといわれるMR職で、50~100人です。

そのため、競争倍率が高くなっています。

薬剤師が製薬会社で働くデメリット② 転勤がある

MR職は採用条件に、全国勤務可となっているところが多く、定期的な転勤があるのは覚悟しなければなりません。

開発職で、ある程度の勤務年数になったら、海外で仕事をすることもあるようです。

本社勤務の人でも、合併や統合で本社が移転して、転勤することも増えています。

製薬企業は会社の規模が大きいため、人事や仕事内容の都合で、転勤することはしょうがありません。

出身地や家庭の事情は、退職前には考慮されることがありますが、基本的にないそうです。

薬剤師が製薬会社で働くデメリット③ 自己管理能力が求められる

研究・開発職は新医薬品を商品化する、薬事職は新医薬品を発売する、学術職はよりよい情報を提供する、MR職は売り上げというそれぞれの目標があります。

他の薬剤師の職場と比べて、製薬会社では目標達成という結果が重視されます。競争も激しい業界なので、目標も高くなります。

そのために、製薬会社では自己管理能力を求められます。その能力がないと結果が出ないからです。

多くのストレスを抱えがちな仕事の中で、自分を管理するのはなかなか大変です。

薬剤師が製薬会社で働くデメリット④ MRの場合、他の職場への転職が難しい

MR職は、製薬会社の仕事の中で、自社商品を売るための営業を行う職種です。

さまざまな業務の中で、薬剤師に特化した業務を行うことはないので、薬剤師の他の職場への転職は難しいといわれています。

自社医薬品や他社競合品に関する医薬品についての勉強は行います。しかし、限られた分野の医薬品についての知識に偏りがちです。

薬剤師しかできない仕事をすることよりも、営業活動に必要なビジネススキルやマナーを身につける方が優先されます。

製薬会社への転職に強い転職サイト

製薬会社への転職を希望しても、転職に必要な情報を集めて、転職先への連絡や面接の調整などを個人でするのは簡単ではありません。

そこで活躍するのが、ネットの転職サイトです。最近は薬剤師に特化したサイトも多く、サービスも充実しています。すべてネットで手続きでき、簡単です。

製薬会社への転職に強い転職サイト① 薬キャリ

薬キャリは、薬剤師登録数第一位のサイトで、薬剤師専門の派遣、転職支援サービスを行っています。

勤務希望地域もしくは路線・駅、希望する業種、雇用形態、年収や休みなどのこだわり条件を入力し、日本全国の転職先を検索できます。

最短で即日中に最大10件の求人情報を提供してくれます。

専任コンサルタントが付き、転職候補企業との面接日程や条件交渉も代行してくれます。

未公開求人情報の提供や、求人票に載っていない候補企業の情報も確認してくれます。

企業求人数は160件です。

製薬会社への転職に強い転職サイト② ヤクジョブ

ヤクジョブは、薬剤師専門の転職・就職・派遣サービスを行っています。

年間1万人以上の薬剤師や医療従事者に利用されています。

業界最多の70000件以上の求人数を持ち、非公開求人も多数あります。取引企業・医療機関は7000社以上で、日本全国のエリアに対応し、幅広い業種の相談が可能です。

相談には、薬剤師専門コーディネーターが付いてくれます。求人票では分らない職場の雰囲気などの情報提供や条件交渉までサポートしてくれます。

希望するエリア・ 雇用形態・業種・希望条件・フリーワードを入力し、求人情報を検索します。

企業求人数は、234件です。

製薬会社への転職に強い転職サイト③ リクナビ薬剤師

リクナビとは、リクルートが提供する「個人のキャリアを支援するサービス」の総称です。その中で薬剤師に特化したサービスがリクナビ薬剤師です。

業界認知度1位の転職支援サイトで、雇用形態・エリア又は駅・施設形態・希望条件を入力し、全国各地の求人情報を検索できます。

薬剤師専任のキャリアアドバイザーが付き、面談の日程調整や合否連絡、退職手続きの方法など、転職の際に発生する連絡業務、事務手続きなどをサポートします。

企業求人数は198件です。

製薬会社への転職に強い転職サイト④ マイナビ薬剤師

マイナビ薬剤師

「マイナビ薬剤師」は、就職情報サイト「マイナビ」や転職情報サイト「マイナビ転職」などを運営するマイナビの医療従事者専門の人材紹介サービスです。

利用者満足第1位の評価があります。

サイトでは、地域、希望業種、希望勤務形態を入力し、求人情報が検索できます。業種入力が企業ではなく、臨床開発や学術、薬事などできて、より詳しい検索ができます。

薬剤師専任キャリアアドバイザーが付き、面接や見学の日程調整、面接前の準備・アドバイスもサポートしてくれます。

年収や職場の雰囲気のような自分では聞きにくいことの確認代行なども行ってくれます。

企業求人数は307件です。

まとめ

製薬会社は、医薬品を開発し、製造販売することが仕事です。

製薬会社には、研究職、開発職、治験職、薬事職、学術職、MR職といった様々な職種があります。

製薬会社の平均年収は、他の薬剤師の仕事と比べても、他の業種の企業と比べても高いです。

製薬会社の初任給は、学部卒や修士、院卒など学歴による違いがあります。他の業種とは大きく差はありません。

製薬会社で働くためには、薬剤師の資格だけでなく、他にも必要な資格やスキルがあります。就職するときに必要なことと、就職してから必要なことがあります。

製薬会社で働くメリットとして、年収が高い、スキルアップしやすい、MRならば他の仕事に生きるビジネススキル・マナーが身につく、福利厚生がしっかりしているなどがあります。

デメリットとして、倍率が高い、転勤がある、自己管理能力が求められる、MRの場合、他の職場への転職が難しいなどがあります。

製薬会社への転職には、転職サイトの利用が便利です。パソコンやスマホから、簡単に転職情報の検索ができます。転職する時のサポートも充実しています。