豊富な品揃えと安さで人気の会員制大型小売店 「コストコ」 は、多くの店舗で薬局を構えています。
薬剤師も随時募集しているため、転職先として気になっている薬剤師さんも多いでしょう。
コストコはアメリカ生まれの企業ですが、他の調剤薬局やドラッグストアの薬剤師と、働き方は同じなのでしょうか。
コストコで働く薬剤師の給料は高いと言われていますが、実際はどうなのでしょうか。
ここでは、コストコの薬剤師の仕事内容や年収、評判などをまとめていきます。
目次
コストコで働く薬剤師の仕事内容は?求人と合わせて確認
コストコの薬剤師の雇用形態は、正社員・アルバイト・パートの3種類あり、登録販売者や管理薬剤師の求人もあるようです。
コストコで働く薬剤師の仕事内容を、雇用形態と職種別に、実際の求人内容とあわせて確認していきましょう。
正社員
コストコの正社員薬剤師の求人は、9:30~21:30のうち8.5時間の勤務時間(休憩時間は有給30分+無給30分)、週40時間のシフト制です。
主な仕事内容は、店舗における調剤業務・服薬指導・薬歴管理、一般用医薬品の販売、医薬品の在庫管理・発注・納品・品出しです。
コストコは他社で扱っていない輸入サプリメントも扱い、お客さんのサプリメントの相談に応じる場面もあります。
アルバイト
コストコのアルバイト薬剤師の求人は、勤務時間は9:30~21:30のうち週20時間以下のシフト制です。
コストコは土日祝日が特に忙しいため、採用の際は土日祝日に勤務できる人を優遇しています。
主な仕事内容について、正社員との違いがホームページなどに明確に記載されていませんが、正社員に準じる形だと考えられます。
つまり、店舗での調剤業務・服薬指導・薬歴管理、一般用医薬品とサプリメントの販売、商品の品出しなどです。
パート
コストコのパート薬剤師の求人では、勤務時間は9:30~21:30のうちの週20時間以上40時間未満のシフト制です。
パートもアルバイト同様、土日祝日に勤務可能な人が優遇されます。
仕事内容も正社員に準じる形になると考えられ、店舗における調剤業務・服薬指導・薬歴管理、一般用医薬品とサプリメントの販売、商品の品出しなどです。
コストコは品数が多いため、陳列業務にかなりの時間を取られるという声もあります。
登録販売者
コストコの薬局で働く登録販売者の求人は、現在公開されている範囲では見ることができません。
過去に登録販売者を募集した実績はあり、今後新店舗がオープンする際などに再び求人が出る可能性はあります。
コストコのホームページを見ると、勤務時間は薬剤師と同じだと考えられます。
登録販売者は、一般用医薬品のうち第2類・第3類医薬品の販売ができ、OTC販売で薬剤師不足を補う重要な戦力で、今後も活躍が期待される職種です。
管理薬剤師
コストコの管理薬剤師は、薬局における管理職の位置づけになります。
コストコのホームページでは、「管理職は年俸制」「経験を考慮し会社規定により優遇」ということ以外、詳細は公開されていません。
勤務時間は他職種同様、9:30~21:30の間のシフト制だと考えられますが、週の勤務時間の記載はされていません。
管理薬剤師は、薬局を管理監督する立場にあり、医薬品の品質管理から勤務薬剤師の指導も行います。
コストコで働く薬剤師の年収は?
コストコは管理職以外、正社員もパート・アルバイトと同じ時給制です。日本では同様の事例をあまり見ません。
新卒薬剤師の給与やボーナスの情報と、コストコの給与形態と年収をまとめていきます。
コストコは時給制!
コストコは管理職以外、正社員であってもパート・アルバイトであっても時給制です。
スタート時の時給は一律2900円で、勤務時間に応じて昇給するのも同じです。
長期間勤務するほど時給は自動的に上がるシステムになっており、勤務評価がそのまま時給に反映されるわけではありません。
給与に関しては、正社員とパート・アルバイトがまったく同じ条件ということです。
雇用形態によって待遇が変わってくるのは、福利厚生の面です。
新卒薬剤師の平均月収・年収は?
コストコの薬剤師は、経験豊富なベテラン、未経験者ともにスタート時の時給は同じです。
新卒薬剤師のスタート時の時給は2900円で週40時間勤務です。基本的に残業はないことから、月収は約51万円です。
新卒薬剤師にボーナスは支給されないと仮定すると、コストコの新卒薬剤師の年収は、月収51万円×12ヵ月=約612万円という計算になります。
コストコの新卒薬剤師の給与は、新卒としてはかなり高い方です。
賞与・ボーナスはいくら?
コストコの賞与・ボーナスの情報は、公開されていないため詳細は不明です。
求人を見ても「月収約50万円、年収600万円」と掲載しているところがあり、賞与・ボーナスは設定されていない可能性が高いです。
実際に働いている人の口コミには、入社3年半以降の最高時給になってから支給されるという声もありました。
金額は月収の半分以下で、それほどもらえるわけではないようです。
求人によって賞与・ボーナスの有無が異なるかもしれませんので、よく確認しましょう。
コストコは薬剤師におすすめ?評判・口コミまとめ
コストコは薬剤師の勤務先として人気がありますが、職場環境や福利厚生の充実度については、どういった評判があるのでしょうか。
ここからは、薬剤師の勤務先としてコストコをおすすめする理由を、実際の評判や口コミとともに挙げていきます。
残業は基本的にない
コストコの残業は繁忙期でも30分〜1時間ほどで、基本的にはありません。
残業したとしても1分単位で残業代がつき、100%支給されます。
基本的に残業がなく、あっても100%残業代が支給されるのは、安心して働く条件のひとつではないでしょうか。
残業がないことは、仕事後の予定が立てやすく、プライベートも充実させやすいメリットもあります。
サービス業は残業が多いと思われていますが、繁忙期でもあまり残業をしないコストコは魅力的です。
時給が良い
コストコの薬剤師の時給は全員2900円スタートで、残業(時間外勤務)のうち、休日勤務時給は3915円、22時以降の深夜時給は3625円と、好待遇です。
経験の有無や仕事内容によらず、時給額は一定です。自動昇給制度で、1000時間(約半年間)勤務するごとに時給は50~65円上昇し、最高3300円まで上がります。
一方、今までの経験や仕事ぶりが時給に反映されるわけではないため、モチベーションの維持が難しいと感じる人もいるようです。
オフィス環境も良い
コストコの職場は、オフィス環境が良いと評判のようです。
朝から機械で清掃が入るため清潔で、残業がほとんどないことから、職員は余裕を持って仕事に集中できます。
週休2日で有給休暇も100%消化する決まりになっています。休憩時間もしっかり守ってもらえるとの声もあります。
突然の休みや早退にも対応してもらえるなど、子育てとの両立にも理解があり、男性が育児休暇を取得する場合もあるようです。
福利厚生も充実している
コストコの福利厚生制度はかなり充実しており、働く薬剤師にとって大きなメリットと言えます。
生命保険や障害所得補償保険のほか、退職後の生活のために、受給対象者に対して勤続年数に応じた生涯設計給付金が支給されます。
この給付金は所得とはみなされないので、給与にかかる所得税・住民税・社会保険料が給付金の分だけ、余計に差し引かれることはありません。
さらに、無料でコストコメンバーシップカードを発行してもらえます。
試用期間終了後は配偶者の分も含め、従業員用エグゼクティブカードに無料でアップグレードできます。
部署によってはかなり忙しいところもある
コストコの本社勤務になった場合、部署によってはかなり忙しいところもあります。
店舗で一般薬剤師や管理薬剤師として勤務した後、コストコ本社で薬局部門の統括マネージャーに就くことがあります。
他社でいうエリアマネージャーのような仕事ですが、コストコの店舗は全国にある上、店舗間の距離がかなり離れています。
このため、勤務時間の8割は出張とも言われ、全国を駆けまわるかなり忙しく体力的にも大変な仕事のようです。
コストコと合わせておすすめの人気薬局
ここまで紹介してきたコストコ以外にも、薬剤師の転職先、パート・アルバイト先として人気の調剤薬局がいくつかあります。
特におすすめの人気薬局3社を、おすすめする理由・各薬局の給与や特徴・評判とともに紹介していきます。
アインホールディングス
大手調剤薬局売り上げナンバー1のアインホールディングスは、業界のリーディングカンパニーと言われ、新卒薬剤師にも人気の大手です。
アインホールディングスは地域医療への貢献でも様々な取り組みをしており、1例として在宅医療の推進があります。
安全キャビネットを備えた無菌調剤室を配備することで、在宅医療は70%以上の店舗が行っており、小児科の在宅医療にも取り組んでいます。
同業他社にはない先進的な取り組みを進めているのです。
正社員は「ナショナル社員」「広域エリア社員」「狭域エリア社員」「自宅通勤社員」とさまざまな選択肢があり、転職後の初任給や社宅負担額など、待遇面が異なります。
転職時の年収は370~600万円と幅があり、他社と比べるとやや低めのようです。
日本調剤
売上が業界第2位の日本調剤の特徴は、ジェネリックの使用促進や在宅医療の推進など、時代に合わせた戦略を採っているところです。
中でも有名なのは、ジェネリック医薬品の製造販売を自社で手がけている点です。
在宅医療は全店を挙げて取り組みを強化したことで、全営業店舗の95%で在宅医療の実施を実現させました。
正社員の年収は、大手調剤薬局チェーンの中では比較的高く、400~800万円です。
クオール
売上が業界第4位のクオールの特徴は、異業種とのパートナーシップによる新業態店舗の開発に力を入れているところです。
ローソンと提携し、コンビニ併設型調剤薬局を開始したことでも有名です。
ビックカメラ店内に調剤薬局を開いたり、JR西日本と提携して駅ナカOTC店舗を設置するなど、調剤薬局の新しい市場を開拓している企業です。
また、クオールは医療機関と個々に信頼関係を築いた上で出店する「マンツーマン出店」を中心に調剤薬局を展開しています。
地域や処方箋を出す医療機関の特性に合わせた店舗作りをしているのです。
正社員は勤務エリアで待遇が異なり、「全国コース」「広域コース」「地域限定コース」に分かれていて、年収は400~500万円です。
コストコで薬剤師として働くにはどうしたら良い?
薬剤師の就職先として人気のコストコで働くには、どうしたらよいのでしょうか。
ここから、コストコに就職する前にやっておいた方がよいことや、コストコに就職する方法についてまとめていきます。
英語を勉強しておく
コストコで薬剤師として働く希望があるなら、英語を勉強しておくとよいでしょう。
コストコを利用するお客さんは、日本人ばかりではありません。
外国人観光客や海外企業から日本に赴任してきた人など、客層次第では英語での接客が求められる機会もあります。
コストコはアメリカ企業で、本社にアメリカ人の上司が勤務していますので、社内公用語が英語です。
昇進や異動などで本社勤務になった場合、同僚や上司と英語で会話する必要が出てきます。
実際に勤務している人によると、社内メールが全て英語であるという話もあります。
調剤経験を積んでおく
いずれコストコの薬剤師として働くことを考えているなら、まず調剤経験を積んでおいたほうがよいでしょう。
コストコの薬局は、多くが調剤併設型になってきており、処方箋薬の調剤業務ができる薬剤師が求められています。
処方箋は1日に10枚程度しか応需しないところも多いようで、コストコでは多くの調剤経験を積むことができません。
社内の研修制度もあまり充実していないようなので、他の調剤薬局で調剤経験を積んでおくのが理想でしょう。
転職サイトを活用する
コストコの薬剤師に転職したいのなら、転職サイトを活用しましょう。
日本国内にもコストコの店舗数が増えてきたとはいえ、薬剤師の求人はそれほど多くありません。
そのため、自力ではコストコの求人に出会えない可能性もあります。
転職サイトを活用すれば、コストコの求人を探してもらえる上、勤務条件の交渉なども代行してくれます。
効率よく理想の求人に出会うため、薬剤師専門の転職サイトで「コストコに転職したい」と相談してみましょう。
コストコに薬剤師として転職するなら必ず利用したい転職サイト
薬剤師としてコストコに転職したいと考えているなら、転職サイトを必ず利用しましょう。
転職サイトを活用することで、より自分の希望に合った条件で就職できる可能性が高まります。
コストコに薬剤師として転職するためにおすすめの転職サイトを4社紹介していきます。
薬キャリエージェント
薬キャリエージェントは、医師・薬剤師の人材紹介や求人広告サービスを行うエムスリーキャリアが運営しています。
医療業界に精通しており、医療機関とのつながりも強いエージェントです。
強いコネクションがあるため、病院や製薬会社など数が少なくて人気のある求人もそろっていると評判です。
薬キャリエージェントは、電話での転職活動が可能なため、仕事をしながらなど忙しい人も相談しやすいです。
電話やメールのやりとりも、コンサルタントのフォローは素早く手厚いため、初めて転職する人にもおすすめです。
その上、薬キャリエージェントは薬剤師登録者数ナンバーワンの薬剤師転職サイトで、コンサルタントへの満足度は95%と非常に高いです。
勤務条件にこだわりがある場合でも、コンサルタントからはなるべく希望に沿った求人を提案してもらえます。
ファルマスタッフは、大手調剤薬局チェーンの日本調剤グループが運営している転職サイトです。日本調剤は、調剤薬局と強いつながりを持つことでよく知られています。
サイトの登録後は、直接個別面談をして転職希望者のニーズを引き出してくれるので、初めて転職する人にもおすすめです。
履歴書のチェックや面接への同行サービスなど、転職に不安を抱えている人にも心強いパトナーになってくれます。
ファルマスタッフの主な求人内容は、調剤薬局や病院です。
調剤薬局は大手や地域密着型でチェーン展開している薬局だけでなく、個人の小規模店舗の求人も紹介可能です。
ファルマスタッフは教育体制、福利厚生も充実している派遣会社も運営しているので、派遣で働きたいと考えている人にもおすすめの転職サイトです。
リクナビ薬剤師
リクナビ薬剤師は、大手人材紹介会社のリクルートが運営する薬剤師専用の転職サイトです。
主な求人内容は大手調剤薬局チェーンやドラッグストア、有名企業などです。
リクナビ薬剤師の公開求人数は3万5千件以上で、非公開求人もかなり多いと評判です。
条件がよい求人やレアな求人は非公開であることが多いため、非公開求人が多いことはエージェントの強みです。
コンサルタントとのやりとりは主に電話やメールですが、レスポンスも早く、紹介求人数も多いため、なるべく早く転職したい人にも向いています。
注意したいのは、リクナビ薬剤師は派遣の求人は紹介していない点です。
転職する際は、自分の希望する雇用形態を確認しておきましょう。
マイナビ薬剤師
マイナビ薬剤師は、大手人材紹介会社のマイナビが運営する薬剤師専用転職サイトです。
マイナビは転職希望者との面談でニーズを引き出すことに力を入れており、サポート体制が充実していると評判です。
転職をきちんとサポートしてもらえるので、転職が初めての人に特におすすめです。
公開求人数は5万5千件以上で、求人内容は主にドラッグストアや製薬企業です。
派遣の求人は紹介していないので、自分の希望する雇用形態を確認しておきましょう。
マイナビ薬剤師はブランクのある薬剤師にむけた相談会やセミナーも実施しています。
出産・子育てなどで長期間のブランクがある場合や、未経験の業界に転職したい場合は、こういったコンテンツを活用するのもよいでしょう。
まとめ
コストコはアメリカ生まれの企業で、今後も日本で新規出店を計画しているという話もあります。
ほとんどの店舗の薬局で調剤併設型となってから、薬剤師の募集も増えており、活躍の場が広がっています。
コストコならではの雰囲気の中、薬剤師として働くことに魅力を感じる人も多いでしょう。
時給制で、給与は正社員もパート・アルバイトも同じであったり、繁忙期であっても基本的に残業はないという特徴のある職場です。
コストコなら自分に合った働き方ができると思った人は、転職先の候補に加えてみるのはいかがでしょうか。