薬剤師の再就職は難しい?ポイントや活用したい転職サイトをご紹介

薬剤師のみなさんの中には、「結婚や妊娠出産、介護や病気などで仕事を辞めたけれど、落ち着いたのでまた働きたい」と考える人も多いと思います。

薬剤師が再就職できる可能性は、前職の状況や再就職先によって大きく変わります。

また、未経験の業界への就職や、長期間のブランクがあるケースは、事前に準備をしてから就職したほうがよい場合もあります。

ここでは、薬剤師が再就職する際のポイントや、おすすめの転職サイトをご紹介します。

薬剤師の復職・再就職は難しい?

薬剤師として復職する場合、前職やブランク、年齢など様々なハードルがあると考えられます。

一般的に薬剤師は復職しやすい職業と言われますが、「調剤経験のある人優先」など、条件付きの求人もよく見かけます。

ここでは、具体的な復職のパターンを挙げ、復職方法についてまとめていきます。

ペーパー薬剤師だけど再就職したい

調剤などの通常の薬剤師業務の経験のない「ペーパー薬剤師」の方が再就職する際は、未経験でも安心して仕事ができる教育環境が整っている職場を選んだ方が良いです。

未経験でも、企業が用意する研修プログラムを受講し、きちんと仕事内容を覚えればよいのです。

企業マニュアルに沿って処方箋を処理・管理できるようになれば、自然と調剤業務は身についてきます。

調剤業務をしない職場がよければ、OTC販売のみのドラッグストアやコンビニに就職する方法もあります。

その場合は、OTC医薬品の知識を身につけ、コミュニケーション能力も必要になってきます。

出産後に再就職したい

出産後の再就職の場合、小さなお子さんを育てながら仕事をすることになります。

そのため、勤務可能な時間や保育園など普段の預け先はもちろん、お子さんが病気になったときなどの対応も決めておく必要があります。

勤務先によっては「お子さんの体調が悪い時、実家の両親を頼れるか?」と尋ねられることもあります。

子育てしながら仕事をすることに理解を示し、子供の急な体調不良の際は休める職場であるかどうか、見極めが必要でしょう。

とはいえ、産後の薬剤師はほとんどの方が問題なく再就職できます。

今後自分のキャリアをどのように積んでいくかも考えて、再就職先を選択するのが理想です。

中高年だけど再就職したい

機器類やパソコンの操作が苦手であったり、就職後に勤務できる年数も10年程度と短いなどの点から、50代の採用は敬遠されることがあります。

しかし、50代の中高年でも薬剤師としての再就職は可能であり、調剤薬局で新人薬剤師として働ける場合もあります。

その理由のひとつは、薬剤師はまだまだ人員不足である点です。

また、女性が多い薬剤師業界では、結婚や妊娠出産で長く職場を離れたり退職したりする可能性がある20代に比べ、それらが落ち着いている50代は安定的に勤務できる強みがあります。

中高年の薬剤師が再就職する際に心がけたいのは、謙虚な気持ちを忘れないことです。

多くの場合、職場で一緒に働くのは年下の薬剤師であり、中高年の人を相手に指導するのは、やりにくさを感じるものです。

こうした職場では「間違いはきちんと指摘してほしい、色々教えてもらいたい」という、謙虚で誠実な姿勢を示すことが大切です。

50代という年齢の面でハンデがあっても、働く姿勢・人柄などを見て、積極的に採用される場合もあるのです。

定年後に再就職したい

定年後に年金だけで暮らしていくのは大変なので、薬剤師として再就職を考える人も多いと言われています。

その場合、正社員ではなくパート・アルバイトや嘱託職員としての再就職が可能であり、多くは調剤薬局や調剤併設のドラッグストアへの勤務となります。

60代で定年を迎えると、人生経験豊富で多くの知識やスキルを持っている人もいるでしょう。

しかし、若い人と異なり高いパフォーマンスを発揮するのは難しく、その点は給料に反映されてきます。

年収は下がり、新卒と同じくらいの給料を提示される場合もあります。

また、定年後の人を採用する際、周囲の年下の薬剤師との関係がうまくいくか、協調性を重要視されるケースも多いです。

協調性を磨き、雇用条件の変更などに柔軟に対応することで、再就職の可能性が広がります。

薬局など特定の職場に再就職したい

薬剤師が再就職する際、どの職場で働きたいのかによって復職へのアプローチが異なります。

ここでは、薬剤師の主な勤務先である調剤薬局・ドラッグストア・病院・製薬会社の4つの職場ごとに、再就職する際のポイントをまとめていきます。

調剤薬局

調剤薬局への再就職は比較的容易である一方で、勤めてみると職場の雰囲気や人間関係に悩んだり、年収がなかなか上がらないことに不満を抱く人も多いようです。

転職を繰り返さないためにも、調剤薬局への再就職の際は、自分の求める待遇と環境に合った求人に出会う必要があります。

調剤薬局の薬剤師の年収は、新卒入社時点からあまり大きな上昇は見込めません。

しかし、管理薬剤師などの役職経験があることで転職時に年収アップが見込めますし、地方の小規模な薬局であれば好待遇の求人も見つかりやすいです。

職場の雰囲気や人間関係は、入社前にはなかなか分かりにくいものです。

事前に見学に行って雰囲気を確認し、入社後に店舗異動が可能な大手調剤薬局チェーンに再就職するのも方法のひとつです。

ドラッグストア

ドラッグストアへの再就職は比較的容易で、給与面でも好待遇なケースが多く、調剤未経験でも就職可能です。

OTC販売に関する研修制度が充実しているところも多く、未経験であったりブランクがあったりしても、OKとされる求人もよく見られます。

しかし、営業時間が長く365日営業の店舗も多い点で、シフトの融通がきかない懸念があります。

この点は、大手ドラッグストアチェーンであれば、本社からのヘルプで対応するためあまり問題にならなくなってきているようです。

勤務時間や休みの取り方などの条件は、入社後に後悔することのないよう、事前によく確認しておくようにしましょう。

病院

病院への再就職は、求人自体があまり多くない中、病院勤務経験者を優遇するものが多く、比較的難しいとされています。

また、欠員が出た状態での採用であることが多く、即戦力が求められます。

研修制度もあまり充実しておらず、再就職先としてはハードルが高めです。

それでも、病院に再就職できる可能性がないわけではありません。

病院勤務未経験者でも採用されるケースはあり、働きながら学べる環境を整えているところもあります。

そのような求人は少ないため、こまめに求人情報をチェックするようにしましょう。

製薬会社

製薬会社への再就職は、求人数自体が少なく、比較的難しいとされています。

企業の仕事はプロジェクト単位で動いていることが多く、欠員が出たときだけ新たに採用するケースが多く見られます。

そのため、タイミングが良くなければ、製薬会社の求人に出会える可能性は低くなります。

また、製薬会社への再就職を希望している人が力を入れるべきなのは、面接対策です。

前職で調剤薬局や病院に勤務していたキャリアは、それほど評価されません。

どうしてメーカーで働きたいのか、どうしてその企業に勤めたいのか、どんなスキルがあるのか、といったことを聞かれます。

採用担当者に、自社で働いてほしいと思われるような回答をしなければなりません。

製薬会社への再就職を希望する人は、面接対策をしながら求人情報に目を光らせ、チャンスがあったら応募するようにしましょう。

薬剤師が再就職するためにはどんなことを勉強すれば良い?

薬剤師が再就職するには、事前にどのような準備が必要なのでしょうか。

未経験の分野に就職する場合などは、最低限の知識を身につけておきたいものです。

ここで、薬剤師の再就職で必要になる事前準備をまとめていきます。

未経験から薬剤師になるために必要な勉強は?

薬剤師の仕事は、基本的にはOJT、つまり現場で実践しながら習得していきます。

そのため、調剤業務は事前に勉強するというより、入社後に実践あるのみという要素が大きいです。

薬の勉強も、ジェネリック医薬品の種類が増えて、使用が一般的になりつつある現在、薬局によって採用品は様々なので、ジェネリックの薬品名まで事前に覚えるのは難しいです。

患者さんとのやりとりで答えられないことがあったら、「正確にお答えするために調べてよろしいでしょうか」とうかがい、調べてから回答すれば良いのです。

薬局の服薬指導の現場でも、よくあることです。

仕事をしながら勉強し、分からないところはその日のうちに解消していく日々研鑚の姿勢が、薬剤師として一人前になるために必要なことです。

薬剤師の再就職についてよくある質問

薬剤師が再就職したいと考えた時、疑問点や心配な点は少なからずあると思います。

ここからは、薬剤師が再就職する際に特に問題となりやすいブランクや年齢、優遇されやすいキャリアなどについて、よくある質問と回答を紹介していきます。

薬剤師はブランク何年まで大丈夫?ブランク20年からの再就職は厳しい?

結論から言うと、薬剤師は何年ブラックがあっても再就職は可能です。

調剤薬局の求人には、薬剤師業務未経験でも再就職可能なものが存在しているからです。

薬剤師は一般的に、最終勤務から2年間空くとブランクがあると言われます。

薬価や調剤報酬の改定が2年ごとに行われ、そのたびに職場のルールが変わるからです。

そのため、2年以上のブランクがあると、復職したときに慣れるまではスムーズに仕事ができないことが多いのです。

また、子育てが一段落するまで再就職しなかった場合などは、ブランクが20年ほどあいてしまうこともあります。

それでも、薬剤師経験があるのは未経験よりも優遇される点であり、再就職は可能です。

薬剤師が再就職できる年齢に上限はある?

薬剤師は、職場によっては定年制度がなく、いつまで働くか自分で決められるところもあります。

高年齢であっても、体力や視力など肉体的な面が問題なく、周囲と協調性を持って働くことができれば、仕事を続けることができるのです。

ただし、高齢の場合、再就職可能な職場の多くは調剤薬局かドラッグストアです。

求人数も高齢になるほど少なくなり、給与も低く設定されているところが多いです。

それでも、薬剤師という国家資格をもつ専門職であるため、一般的に薬剤師は高齢であっても再就職はしやすいです。

再就職しにくい職種ってある?逆にどういう経験がある人が再就職しやすい?

再就職しにくいのは、求人数自体が少ない病院や製薬企業の薬剤師職です。

これに対して、少しでも調剤の経験があると、調剤薬局や調剤併設のドラッグストアに再就職しやすくなります。

長いブランクがあっても、まったくの未経験よりも、薬剤師の仕事に慣れるのが早いためです。

また、管理薬剤師を経験していることで優遇される場合もあります。

店舗の管理者の経験があれば、様々な管理業務を行った経験があるということで、雇用者側から見て魅力的なのです。

薬剤師がブランク明けから再就職するためのポイント

薬剤師がブランクのある状態から再就職するには、いくつかポイントがあります。

不本意な転職を繰り返すことのないよう、ブランク明けの再就職の際にはどのようなことを心がけ、気をつけていけばよいか、まとめていきます。

今後のキャリアビジョンを明確にする

ブランク明けの再就職の際は、自分の希望に合った待遇と環境のもと、なるべく長く働き続けたいと考えている人が多いです。

そのため、再就職の際はその後のキャリアビジョンを明確にし、実現可能かどうか勤務先に確認しておく必要があります。

再就職時は平社員でも、ゆくゆくは管理職やマネージャー職などをやってみたいなどの希望がある場合は、それが可能な会社でなくてはなりません。

また、例えば、いずれは在宅医療の経験を積みたいという気持ちがある場合、在宅を積極的に実施しているところを探す必要があります。

自分が今後どのように薬剤師としての経験を積んでいきたいのか、明確にしておくようにしましょう。

過去にすがらず、プライドは持たない

ブランクがある薬剤師の中には、過去に大きな企業で管理職を務めていたなど、経験豊富な人もいます。

しかし、退職しブランクがある状態で再就職する際は、華やかな過去にすがらず、プライドは持たないようにしましょう。

以前勤めていた会社で活躍していた時と同じ評価はされないので、給与は低い状態からスタートすることも多いです。

そこで過去にすがってプライドを捨てきれずにいると、なかなか再就職できなくなってしまいます。

求人の内容や条件はきちんと確認する

薬剤師の求人の中には、人手不足が切迫していて、即戦力になる人を優先して採用しているケースもあります。

即戦力を期待される職場では、忙しいところも多く、ブランクのある人は働きにくく、勤務条件も厳しくなっていることがあります。

人員に比較的余裕のある、働きやすい環境を整えているところが理想です。

求人内容や勤務条件をよく確認し、研修制度を設けていてブランクがあっても働きやすい、といったところを探すようにしましょう。

転職サイトを活用する

ブランクがあっても温かく迎えてもらえる、働きやすい職場を探すには、転職サイトを活用しましょう。

薬剤師専門の転職サイトでは、「ブランクが長くて再就職が不安」といった人でも働きやすい職場の求人を紹介してもらえます。

雇用者側のニーズと、求職者側のニーズどちらにも精通しており、双方の希望を合致させるプロだからです。

中には、自分では提案しづらい勤務条件や待遇も、代わりに交渉してくれる転職エージェントもあります。

なるべく効率よく、希望に合った求人に出会えるよう、転職サイトを活用しましょう。

再就職先を探すのにおすすめな転職サイト3選

ブランクがあるなど、不安な要素がある場合は、再就職のハードルは高くなります。

そんな中、自分の力だけで自分に合った再就職先を探すのは、時間も労力もかかるものです。

ここでは、再就職先を探すのにおすすめな転職サイトを紹介します。

薬キャリエージェント

薬キャリエージェント

エムスリーという医療情報専門サイトを運営している転職サイトで、医療業界に強いコネクションがあります。

そのため、病院や製薬会社など、求人数が少なくて人気のある求人もそろっていると評判です。

非公開求人を含め、希望に沿った求人を迅速に提案してもらえるサービスもあり、好評です。

公開求人数も4万件以上あり、独自の薬剤師求人の他にも、さまざま会社の薬剤師求人の紹介をできるのが強みです。

サイト登録後、エージェントとのやりとりも電話だけで可能なため、忙しく働きながらの転職活動も相談しやすいです。

コンサルタントによる電話やメールでの対応が早く、フォローも手厚いため、初めて転職する人にも向いています。

ファルマスタッフ

ファルマスタッフ

大手調剤薬局チェーンの日本調剤グループが運営してきた、調剤薬局とのつながりが強いことで業界でもよく知られている転職サイトです。

公開求人数は5万5千件以上で、47都道府県に対応しています。

サイト登録後は、個別面談をしてからの求人紹介となり、面接サポートもしてもらえるので、初めて転職する人にもおすすめです。

大手や地域密着型でチェーン展開している調剤薬局だけでなく、個人レベルの小規模店舗の求人も紹介してもらえます。

また、ファルマスタッフは派遣会社としての機能にも力を入れています。

教育体制、福利厚生も充実している派遣会社を運営しているので、派遣で働きたいと考えている人にもおすすめの転職サイトです。

リクナビ薬剤師

リクナビ薬剤師

リクルートという人材紹介などを行っている大手の会社が運営する転職サイトです。

大手の調剤薬局チェーンやドラッグストア、有名企業の求人を中心に紹介してくれます。

公開求人数は3万5千件以上です。

リクナビ薬剤師は、非公開求人が多いというのも評判です。

条件がよい求人やレアな求人は、非公開であることが多いです。

そのため、漢方薬局や製薬系企業など、人気のある非公開求人も紹介してもらえることがあります。

ただし、派遣の求人は紹介していないので注意してください。

コンサルタントとは、基本的に電話やメールでのやりとりなので、忙しい薬剤師も相談しやすいです。

電話やメールのレスポンスも早く、紹介してもらえる求人数も多いので、早く転職したい人にも向いています。

薬剤師専門の転職サイトを活用して、スムーズに再就職できるようにしよう

薬剤師の再就職がうまくいくかどうかは、再就職先、ブランクの有無や前職の状況、年齢などによって様々です。

できるだけ効率的に希望の求人に出会うには、薬剤師専門の転職サイトを活用するのがおすすめです。

転職エージェントを利用した場合にしか出会えない、非公開の求人というものもありますし、自力での就職活動は非常に時間がかかり、大変です。

自分に合った求人に出会うまでに時間や労力をかけ過ぎると、復職のハードルをさらに上げてしまいます。

薬剤師専門の転職サイトを活用し、スムーズな再就職を目指しましょう。