管理薬剤師の年収ってどのくらい?なる方法も合わせて解説!

この記事では、管理薬剤師の年収について詳しく紹介しています。

管理薬剤師になる方法についても紹介しているので、ぜひチェックしてみてください。

管理薬剤師の基本情報

薬剤師

「管理薬剤師」という肩書のことは知っていても、実際に管理薬剤師がどのような仕事をしているのかあまりよく分からない人もいるのではないでしょうか。

自分の上司が管理薬剤師だったり、知人や友人に管理薬剤師がいたりしても、具体的にどのようなことをしているのかは意外と分からないものです。

ここではまず、管理薬剤師の仕事内容や労働環境など基本情報を紹介します。

仕事内容

管理薬剤師の仕事を一言で表すと、「薬局やドラッグストアなどの責任者」です。

医薬品の管理だけでなく、従業員の監視も重要な仕事で、職場によって仕事内容が異なります。

薬局では、医薬品が欠品しないよう、近隣の薬局と連携を取り合う必要があります。また、薬剤師だけでなく従業員の指導も担当し、場合によっては経営を任されることもあります。

ドラッグストアでは、医薬品の責任者として、店長やオーナーへ助言を求められることもあります。健康食品なども扱うことから、店内の掲示に違法性がないかを確認するのも仕事です。

病院には管理薬剤師を置く義務がありませんが、薬局長などの肩書で働くことが多くあります。入院患者への処方・調剤を行うため、医療に関する幅広い知識が求められます。

また、医薬品を取り扱う企業には管理薬剤師の設置が義務付けられていることから、一般企業で申請業務などのデスクワークを行う管理薬剤師もいます。

労働環境

管理薬剤師は、通常の薬剤師が行う調剤業務に加えて上記のような業務をしなければならないことから、「仕事が大変そう」というイメージを持った人もいるのではないでしょうか。

実際に、管理薬剤師は業務量が多く、他の薬剤師や従業員が帰っても一人で残業しなければならないという職場も少なくありません。

労働時間の規定は一般の薬剤師と変わりませんが、定時で帰宅できる職場は珍しく、1日30分から1時間の残業が必要な職場が多いのが原状です。

そのため、月10~20時間の残業が恒常的に発生することから、調剤薬局などでは見込み残業代がすでに給料に含まれていることもあります。

また、業務量が多くなるだけでなく、責任も重くなることから、プレッシャーのかかる仕事を担当したり、休みが取りにくかったりすることもあります。

メリット

管理薬剤師の仕事は大変そうというイメージがあるかもしれませんが、もちろん管理薬剤師として働くうえでのメリットもあります。

では、管理薬剤師になると、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか。主なメリットを2つ紹介します。

  • 責任感を持って仕事ができる
  • 年収が上がる

責任感を持って仕事ができる

管理薬剤師は、その薬局やドラッグストアなどの責任者です。責任ある仕事を任されるということは、仕事の幅が広がるということです。

通常の薬剤師では経験できない業務を行うことで、調剤スキルや医薬品の知識にとどまらない社会人としての幅広いスキルが習得できます。

現場の責任者として薬剤師や他の従業員の教育を行ったり、クレームへの対応を行ったりすることで、マネジメントスキルやコミュニケーションスキルの習得が期待できます。

年収が上がる

管理薬剤師になると、手当がつくため年収が上がります。

手当の額は職場によって異なりますが、月3万円~6万円ほどが支給されます。

責任や業務量が増えることに対する対価であり、職場によっては管理薬剤師手当の支給だけでなく基本給も上げる場合があるなど、職場によってさまざまです。

薬剤師はポストが少ないことから、年収が一定の水準を超えると上がりにくいとも言われているため、年収を上げたい場合には管理薬剤師になるのもおすすめです。

デメリット

責任感のある業務ができることや年収が上がることなどのメリットがある管理薬剤師ですが、デメリットも存在します。

デメリットを知っておかないと、いざ管理薬剤師になったときに後悔することになりかねません。管理薬剤師として働くうえでのデメリットを紹介します。

  • 副業ができない
  • 残業が多くなる

副業ができない

管理薬剤師として働くのであれば、薬剤師としての副業ができません。これは、医薬法第8条にある文言に則ったものです。

単発派遣やパートなどで薬剤師として働くことはもちろん、平日と休日で別の薬局で働くことも許されておらず、1つの薬局やドラッグストアで働くことしかできません。

薬剤師の副業は時給が高いだけでなく、普段働く職場とは異なる環境で業務を行えるためスキルアップにも繋がると人気がありますが、管理薬剤師はこうした働き方が禁止されています。

学校薬剤師などの公益性が高い業務は副業が許可される場合もありますが、基本的に副業が禁止されているということはデメリットです。

残業が多くなる

前述のとおり、管理薬剤師は業務量が多いことから、一般の薬剤師と比較しても残業が多くなる傾向にあります。

在庫管理や書類作成、クレーム対応など幅広い業務に対応しなければならないため、残業のみならず休日出勤で業務を進めなければ間に合わない状況に陥ることもあります。

特に、パートなどの非常勤の薬剤師が多い職場の場合、パート薬剤師が勤務できなくなった際に代わりに出勤しなければならないなど、急な出勤が生じる可能性もあります。

管理薬剤師の年収

管理薬剤師の基本情報が分かったところで、気になるのはやはり管理薬剤師の年収ではないでしょうか。

年収が上がるとは分かっても、どのくらい上がるのか気になる人も多いはずです。

ここでは、管理薬剤師の平均年収や、職場ごと・地方別の平均年収を紹介します。

管理薬剤師の平均年収

人事院がまとめた職種別民間給与実態調査によれば、管理薬剤師(薬局長)の平均年収は611万円です。

一般の薬剤師の平均年収が543万円であることと比べると、管理薬剤師の年収は高いと言えるでしょう。

管理薬剤師と一般の薬剤師の年収の差は、手当や基本給によって異なるだけでなく、地域や職場によっても異なります。

「薬剤師の年収は地方に行けば行くほど高くなる」という話を聞いたことがある人もいるのではないでしょうか。それと同じことが、管理薬剤師にも当てはまります。

前述の通り、管理薬剤師の手当は月3万円~6万円が多いですが、人手の足りない地方では8万円以上の高額な手当がつくケースもあるようです。

都心では600万円ほどが平均とされていますが、地方では650万円~700万円が平均年収という地域もあり、高収入を狙うなら地方の管理薬剤師になるのがおすすめです。

他の業種の平均年収

管理薬剤師の年収は、やはり一般の薬剤師と比べても高いということが分かりました。では、勤務先で管理薬剤師の年収はどのように変わるのでしょうか。

データなどをもとに、調剤薬局や病院、ドラッグストアの平均年収を紹介します。

調剤薬局

厚生労働省の第21回医療経済実態調査の報告(平成29年実施)によると、調剤薬局で働く薬剤師の平均給与年額は約680万円(6,832,561円)、ボーナスが約80万円(813,017円)で、年収の平均は約764万円(7,645,578円)です。

年齢層が高いことによる影響もあると考えられますが、一般の薬剤師の年収平均が5,017,136円であることと比較すると、かなり年収が高いと言えるのではないでしょうか。

とはいえ、調剤薬局の管理薬剤師の年収は手当の額によるところが大きく、手当の少ない薬局では「管理薬剤師になったのに年収がちっとも上がらない」ということになりかねません。

そのため、調剤薬局の管理薬剤師として年収アップを目指すのであれば、年収が比較的高い大手調剤薬局に転職するか、地方の薬局を選ぶことをおすすめします。

病院

病院では管理薬剤師を設置する必要がないことから、求人でも「薬剤部長」や「薬局長」などの肩書で働くことも多くあります。

もともと病院薬剤師の年収が他の職場の薬剤師と比べて低いこともあり、薬局長レベルでも年収500万円から600万円の求人が多く、平均年収も同水準であると推測されます。

とはいえ、病院でも管理薬剤師にそれ以上の年収を支給する施設が存在しないというわけではありません。

調剤薬局同様、地方の病院は薬剤師の人手不足が深刻となっていることから、高額な年収を支払ってでも薬局長になってもらいたいと考える病院も少なくありません。

中には年収750万円以上の求人も見つかるので、働く地域を問わないという人は探してみることをおすすめします。

ドラッグストア

ドラッグストアは、病院や調剤薬局と比べても年収が高いことから、管理薬剤師の平均年収も他の職場と比較して高くなる傾向にあります。

ドラッグストアで働く管理薬剤師の平均年収はおよそ600~700万円と言われており、ドラッグストアで働く薬剤師の中でも特に高い年収が期待できます。

ただし、注意したいのは、調剤薬局と同様に店舗差や地域によって、年収や手当の額に大きな差が見られるという点です。

都心で薬剤師が飽和状態にあるような地域では、もともとの基本給だけでなく管理薬剤師の手当も低い可能性が高いので、注意が必要です。

その一方、山間部などの薬剤師が不足しているエリアでは、年収750万円の求人が見られるなど、地域によって大きな差があります。

管理薬剤師になるには

責任が重く業務量が増えるという大変さはあるものの、年収アップなどのうれしいメリットもある管理薬剤師。目指してみたいと思っている人もいるのではないでしょうか。

管理薬剤師は必須資格もなく、多くの施設では3年以上の経験を積めば管理薬剤師にステップアップここでは、管理薬剤師になる方法として、2つのパターンを紹介します。

方法① 内部昇進

管理薬剤師になるための方法の1つ目が、内部昇進です。その名の通り、現在自分が働いている職場で管理薬剤師になることを目指します。

現在も勤務している職場であるため、周りの薬剤師や医療事務、医師やMRといった人々のことをよく知っているため、働きやすいというメリットがあります。

また、管理薬剤師になるのが初めてという場合でも、よく知っている前任者が指導してくれるので安心です。

しかしながら、各施設に設置される管理薬剤師のポジションは限られており、前任者の転勤や退職を待たないと管理薬剤師になれないという点に注意が必要です。

どんなにキャリアを積んでも、管理薬剤師というポストが空かなければ内部昇進で管理薬剤師になることはできません。

方法② 転職する

管理薬剤師になるもう1つの方法が、転職することです。管理薬剤師の求人を出している職場に転職すれば、ポストが空くのを待たずに管理薬剤師になれます。

「管理薬剤師になりたいけど、今の勤務先のポストがいつ空くか分からない」という場合には、転職した方が手っ取り早く管理薬剤師になれるのでおすすめです。

多くの職場では、募集要件を「3年以上の実務経験を有していること」としているので、3年以上薬剤師として働いていれば誰でも求人に応募できます。

とはいえ、管理薬剤師を募集する職場は経験者を優遇することが多く、管理薬剤師としての経験が全くない状態では受け入れてもらえないことも少なくありません。

そこでおすすめなのが、転職エージェントを活用することです。さまざまな求人を紹介してもらえるうえに、転職のプロによるサポートも受けれらます。

管理薬剤師への転職におすすめの転職サイト

薬剤師 転職

管理薬剤師を目指して転職するのであれば、転職エージェントを利用するのがおすすめです。

ここでは、特におすすめのサイトを3つ紹介します。

なお、転職エージェントは複数利用することでその効果を高めることができます

ぜひ複数のサイトに登録し、自分に合ったものを選んでください。

薬キャリエージェント

薬キャリエージェント

薬キャリエージェントは、年間20,000人もの薬剤師が利用し、登録者数が業界No.1の転職サイトです。

薬キャリは、7万人以上の薬剤師が登録している医薬情報サイトm3.comの子会社である「エムスリーキャリア」が運営しています。

求人件数は常時40000万件以上あり、登録当日に最大10件の求人を紹介してくれます。

薬キャリエージェントには、薬キャリmamaという他の転職サイトにはないママ薬剤師向けのサイトもあります。

薬剤師が転職活動をするなら、まず登録すべき転職サイトと言えるでしょう。

ファルマスタッフ

ファルマスタッフ

ファルマスタッフは、大手調剤薬局チェーンの日本調剤が運営している転職エージェントです。その経営母体から、調剤薬局に強いエージェントとして知られています。

ファルマスタッフの大きな魅力は、調剤薬局の高収入の求人が多いことです。年収600万円以上の高収入の求人が多いことから、年収アップが期待できます。

求人の質が高いだけでなく、量も充実しており、特に調剤薬局の求人数は業界トップクラスです。調剤薬局の管理薬剤師に転職したい人におすすめのエージェントです。

面談が充実しており、面接同行などのサービスの手厚さにも定評があります。全国に支店があるため、地方に住んでいる人でも安心です。

ただし、調剤薬局以外の高収入案件はあまり多くないため、調剤薬局以外への転職も視野に入れている人は、他のエージェントとの併用をおすすめします。

リクナビ薬剤師

リクナビ薬剤師

リクナビ薬剤師は、人材派遣・紹介サービスの大手「リクルートグループ」が運営する転職サイトです。

薬剤師の求人数は35,000件以上と、国内最大級を誇っています

求人の内容も、企業からドラッグストア、調剤薬局の取り扱いがありますが、大手の会社からの求人が充実しています。好条件の求人が多いのも特徴です。

リクナビ薬剤師の最大の特徴は、スピーディーに転職ができることです。

最短3日で転職可能となっており、専任のキャリアアドバイザーが、本人に代わって情報収集や条件交渉なども行い、転職の手間や時間の負担を軽くすることができます。

転職を急いでいる薬剤師の方に、おすすめの転職サイトです。

マイナビ薬剤師

マイナビ薬剤師は、新卒の就職支援事業最大手のマイナビが運営する薬剤師向けの転職エージェントです。

面談に力を入れており、サポートの充実ぶりに定評があります。

マイナビ薬剤師の大きな魅力は、担当者のサポート力が高く、手厚いサポートを受けられるという点です。

地方にも支店があるので、地方在住者も安心です。

管理薬剤師の経験がない場合、転職活動でも不安に感じることがあるかもしれませんが、担当者がしっかりとサポートしてくれるので安心して転職活動に望めます。

求人の質は比較的高く、担当者が幅広い求人を紹介してくれるものの、求人数そのものはそこまで多くないというデメリットがあります。

求人数の確保のためにも、他の転職エージェントと併用することをおすすめします。

やりがいのある管理薬剤師になろう!

薬剤師

管理薬剤師は、調剤以外で行わなければならない業務も多く、責任も重いことから大変な仕事ではありますが、とてもやりがいのある仕事です。

通常の薬剤師では習得できないスキルを習得できることから、薬剤師としてスキルアップしたいと考えている人にはおすすめの働き方と言えるでしょう。

年収がアップした分だけ、仕事には責任とやりがいが生まれます。薬剤師として働いているだけでは見えてこなかった世界も見えてくるはずです。

転職エージェントを活用して、ぜひ管理薬剤師としての一歩を踏み出してください。