薬剤師の年収って?職場や年代、性別にさまざまな薬剤師の年収をご紹介

薬剤師の年収は、一般的に高くて安定しているといわれます。

しかし、お金のことは他人に聞きづらい面もあり、薬剤師の年収は実際どれくらいなのか、しっかりした数字を知らない人が多いです。

この記事では、薬剤師の年収について、平均年収を世代別でも紹介するとともに、他の職業の年収と比較することで、本当に高年収なのか調べています。

そして、もっと年収を上げたいと感じている薬剤師の方へ、年収アップの方法も具体的に紹介しています。

薬剤師の平均年収はいくら?生涯年収も紹介

まずは、薬剤師の平均年収と生涯年収を紹介します。

世間一般の職業では、男性の年収は女性の1.5倍といわれてますが、薬剤師の年収も他の職業と同じように、性別で年収に違いはあるのか、男女別の平均年収も紹介します。

薬剤師の平均年収

薬剤師の平均年収は厚生労働省の統計によると、約540万円です。

また、男性薬剤師の平均年収は約580万円、女性薬剤師の平均年収は約530万円です。

男性薬剤師と女性薬剤師の年収は、他の職業ほど開きがありません。

これは、働いている薬剤師のうち、女性の占める割合が約67%と他の職業より多く、店長や管理薬剤師などの管理職に就いている割合も多いためです。

他の職業で年収の男女差が生まれる理由の1つは、給与が高くなる要素である管理職に、就く女性が少ないことです。

薬剤師の生涯年収

新卒から定年まで薬剤師として働いた場合、男女あわせた薬剤師の生涯年収は約2億1000万円、男性薬剤師の生涯年収は約2億2800万円で、女性薬剤師の生涯年収は約2億300万円です。

この生涯年収は各年齢の平均年収を、新卒から定年まで単純に加えて算出しており、退職金は含まれていません。退職金は個人差が大きく、平均してしまうと表せない差があるためです。

もし、定年まで働いた年数は同じでも、パートなど非正規雇用の時期があると、正規雇用のみの薬剤師とは退職金の差が大きくなります。

【職場別】薬剤師の平均年収

薬剤師の年収は、勤務年数や男女差だけでなく、働く職場によっても差があります。

この章では、薬剤師の職場別平均年収を紹介しながら、職場ごとの年収の特徴、年収に他の職場と差が出る理由も取り上げています。

調剤薬局

調剤薬局の平均年収は、400~650万円です。

調剤薬局での年収は比較的早く500万円に到達しますが、その後、伸びにくいという特徴があります。

大きく年収が上昇するのは、管理薬剤師や店長などの役職に就く時です。

その他の特徴として、定時退社できる職場が多く、残業が少ないため、残業手当はあまり多くありません。

ドラッグストア

ドラッグストアの平均年収は、400~700万円です。

ドラッグストアの薬剤師は需要が高く、人員を確保するために、初任給は他の職場より高めになります。

加えて、調剤だけでなくOTC医薬品販売や店舗の仕事もあり忙しいため、残業が多くなり、残業手当もつく分、年収も高くなっています。

ドラッグストアにも、店長やエリアマネージャーなどの役職があり、役職に就くと平均年収を超える800万円以上の年収を得る薬剤師もいます。

製薬会社

製薬会社の平均年収は、400~1000万円です。

製薬会社といっても様々な職種があり、年収は職種によって違います。

医薬品の研究や開発を行う研究・開発職の年収は、500~1000万円です。

自社医薬品の営業活動を行うMR職の年収も、500~1000万円です。MR職では営業成績によって、年収の個人差が大きくなります。

自社製品の医薬品情報の管理を行う学術職の年収は、400~800万円です。

病院

病院の平均年収は、400~650万円です。

病院薬剤師の初任給は、他の職場と比較して低めです。

しかし、給料体系がしっかりしており、昇給が確実にあるので、勤務年数が長くなるにつれて、他の職場の薬剤師との年収差はなくなってきます。

また、総合病院など、当直業務がある規模の大きい病院は、当直の手当が付くので、当直業務がある病院の薬剤師の年収は、平均よりも高めになります。

病院にも薬剤主任や薬局長などの役職があり、役職に就くと年収は増えます。

【年代・性別】薬剤師の平均年収

一般的な職業では、勤務年数に伴って年収も上昇します。

薬剤師もその例にもれず、勤務年数や経験年数によって年収が上がります。

この章では、性別による年収差があることも考慮し、男女別・年代ごとに薬剤師の平均年収を紹介します。

新卒

新卒薬剤師の平均年収は、約400万円です。実際の年収額の幅は、350~450万円です。

新卒薬剤師の年収は、性別での差はほとんどなく、勤務する職場や地域による違いで差があります。

薬剤師の新卒時の基本給は、大卒の人が働く他の職業とさほど差がありません。ただ、資格職のため、薬剤師手当がつきます。

薬剤師手当の金額は、3~5万円が相場です。薬剤師の職場の中でも、薬剤師の需要が高いドラッグストアでは、10万円を超える薬剤師手当をつけている会社があります。

20代

20代薬剤師の平均年収は、約410万円です。男性薬剤師の平均年収は約420万円、女性薬剤師の平均年収は約400万円です。

20代でも、性別による平均年収の差はほとんどありません。金額にすると、約20万円の差です。

この差は、ドラッグストアの男性薬剤師が夜間働く時間が増え、夜間勤務による給与の割り増しが影響していると考えられます。

その他、規模の小さい薬局では、男性薬剤師は管理薬剤師になる場合があることも理由として考えられます。

30代

30代以降になると、同じ年代でも前半と後半で年収の差が大きくなるので、前後半で分けて薬剤師の平均年収を紹介します。

男性薬剤師の30代前半の平均年収は、約500万円です。30代後半になると、約580万円になります。

対して、女性薬剤師の30代前半の平均年収は約440万円、30代後半は約490万円です。

30代になって性別で差が広がる理由は、結婚の影響が考えられます。

結婚することで、男性薬剤師は扶養手当が付き、女性は退職や出産による休職が増えてくるからです。

40代

男性薬剤師の40代前半の平均年収は約640万円、40代後半の平均年収は約720万円です。

女性薬剤師の40代前半の平均年収は約530万円、40代後半の平均年収は約560万円です。

40代になると、男性薬剤師は店長や管理薬剤師などの役職に就く人が増え、役職手当による年収の大幅な上昇が見られます。

女性薬剤師の平均年収は、家庭を優先して非正規雇用の短時間勤務で働く方が多いため、男性ほどの上昇はありません。

しかし、短時間でも働ける職場環境があり、仕事を続ける女性薬剤師はいるため、40代になっても、女性の平均年収は30代と比べて下がっていません。

50代

男性薬剤師は、50代になると前半と後半での差がなくなり、平均年収は約670万円です。

女性薬剤師は年代前後半の差がまだあり、50代前半で約530万円、50代後半で約590万円です。

50代の男性薬剤師の平均年収は、役職に就けない人や、残業や夜間勤務をやらない人もいるため、40代後半の男性薬剤師の平均年収よりも下がります。

女性薬剤師の平均年収は、子育てに一段落した女性薬剤師が正社員として仕事に復帰し、管理職に就く人も増えるため、40代よりも上昇します。

薬剤師の年収は他の職業と比べて高い?低い?

ここまで薬剤師の年収について紹介してきましたが、他の職業と比べて、年収は高いのか低いのかは気になるところです。

この章では、日本人の平均年収と薬剤師の平均年収を比較し、職業別の年収ランキングでの薬剤師の順位を調べることで、本当に薬剤師の年収は高いのかを検証しています。

日本人の平均年収

薬剤師の平均年収は約530万円ですが、日本のサラリーマンの平均年収は約420万円です。

また、新卒薬剤師の平均年収は約400万円、新卒サラリーマンの平均年収は約250万です。

薬剤師の平均年収は就職直後から、日本人の平均年収より高いといえます。

この理由として、薬剤師資格を持っていないとできない専門職であることと、薬剤師の需要が高く、人員を確保するため、企業が薬剤師の年収を高く設定していることが考えられます。

薬剤師は年収ランキング何位?

薬剤師の年収は、職業別年収ランキングによると、全職種では24位、資格別ランキングでは12位となっています。

全職種の職業別年収ランキング上位には、経営コンサルタントやIT企業エンジニアなど、平均年収が軽く1000万円を超える職種が、ずらりと並んでいます。

資格別年収ランキングでは、上位に医師や弁護士、税理士など、士業として知られている職業が上位にランクインしています。

高年収の職業が揃っている資格別ランキングの中で、薬剤師の順位は、かなり高順位といえます。

薬剤師の年収は東京などの首都圏と地方では大きく変わる?

東京など首都圏の薬剤師の平均年収は約510万円、その他の地域の薬剤師の平均年収は約525万円です。

地域によって年収差があるのは、薬剤師の需要と供給のバランスに差があることが原因です。

薬剤師の人材が少ない地方では平均年収が高くなる傾向にあり、逆に集まりやすい首都圏では平均年収が低くなる傾向があります。

その他、都市部は平均年収が低い新卒の薬剤師が多く、平均を下げているという原因も考ええられます。

薬剤師が年収を上げるにはどうすれば良い?

もともと年収が高い薬剤師ですが、年収を今よりも上げたいと考える薬剤師の人もいらっしゃるのではないでしょうか。

仕事の成果を出すことや昇給により、年収を上げることはできます。しかし、より早く年収を上げる方法もあります。

この章では、薬剤師の年収を上げる、具体的な方法を紹介します。

製薬会社のMR職に就く

薬剤師の資格を活かしながら高収入を望める職業として、MR職があります。

MR職は、製薬会社の医薬品の情報を、医薬品を使用する医療関係者に提供する仕事で、薬剤師として働く中で得た医薬品の知識を役立てることができます。

気になる年収は、成果を出せば1000万円を超えることも可能です。

調剤経験がある薬剤師は様々な医薬品を扱った経験があり、自社製品だけでなく他社製品の商品情報にも理解があります。

この強みをもっている薬剤師は、MRへの転職も難しくありません。

管理薬剤師になる

調剤薬局の管理薬剤師の平均年収は約770万円で、勤務薬剤師よりも高年収になります。

管理薬剤師は、他の国家資格や民間資格を取得する必要もなく、薬剤師資格があれば務められます。

ほとんどの会社の給与体系は、基本給に各種の手当を付加する形になっています。

もし手当が増えないなら、基本給が上がる昇給でしか、年収の上昇は期待できません。

しかし、薬剤師は初任給は高い一方、会社員のような昇給はあまり望めない職業と言われており、昇給を待つより管理薬剤師手当を貰った方が、確実に年収を上げることができます。

副業する

薬剤師の年収を上げるには、普段仕事をしている職場とは違うところで、休日や空いている時間を使った仕事をすることで給料をもらう、副業という方法もあります。

ただ気をつけないといけないのは、公務員は副業を禁止されていることです。

他にも、会社の就業規則に副業禁止の項目がある薬剤師は、副業をすることで本業を解雇されてしまうこともあります。

また、管理薬剤師は、自分が管理薬剤師として勤めている薬局以外で、薬局業務を行うことが法律で禁じられています。

ただし、薬局業務はできませんが、他の職種で働くことは法律上可能です。

転職する

働く職種までは変えなくても、職場を変えることで、年収を上げることができます。

転職するならば、自分の希望する年収を提示している会社を選ぶこともできますし、金額が合わないとしても、希望年収を交渉することもできます。

最近は、スキルアップや自分の目標をかなえるためなど、前向きな理由で転職する薬剤師も増え、薬剤師が転職することは、社会的に受け入れられてきています。

企業にとっても、即戦力を得られる利点から、薬剤師の中途採用を積極的に行っています。

薬剤師が転職するなら、必ず利用したい転職サイト3選

薬剤師が転職する時には、転職サイトの利用をおすすめします。

転職サイトは、転職に関わる手間や時間をかけることなく、自分の希望する転職をかなえるサポートをしてくれます。

この章では、数ある転職サイトの中から、薬剤師転職の実績が高い、利用するべきサイトを紹介します。

薬キャリエージェント

薬キャリエージェント

薬キャリエージェントは、薬剤師の転職を専門としている転職サイトです。

薬キャリエージェントは、医療情報サイトを展開するエムスリーの子会社のエムスリーキャリアが運営しています。本社は東京にあり、資本金は1億円です。

エムスリーキャリアは、薬剤師だけでなく、医師の転職や医学生・薬学生の就職支援、病院の経営コンサルタント業務も行っています。

薬キャリエージェントには、全国20000件以上の公開求人があります。医療業界とのつながりも強く、好条件の非公開求人や病院、企業の求人も多数あります。

薬キャリエージェントでは、地域専任のコンサルタントが転職支援のサポートをしてくれます。

コンサルタントのサポートは、転職に必要な手続きすべてをカバーしてくれます。加えて、自分では言い出しにくい年収交渉も、しっかり行ってくれます。

ファルマスタッフ

ファルマスタッフ

ファルマスタッフは、薬剤師に特化した転職サイトです。

ファルマスタッフはメディカルリソースが運営しており、調剤薬局チェーン大手として知られる日本調剤のグループ会社です。

メディカルリソースの本社は東京にあり、資本金は9300万円です。

ファルマスタッフには、常時全国45000件以上の求人情報があり、グループ会社のつながりから、特に調剤薬局の求人が充実しています。

ファルマスタッフ最大の特徴は、全国15カ所の拠点があり、その地域の情報に精通したコンサルタントの親身なサポートが受けられることです。

コンサルタントは定期的に転職先の候補を訪問しているので、職場の雰囲気や人間関係などの職場環境を把握した上で、求人の紹介や面接のアドバイスまでサポートしてくれます。

ファルマスタッフでも、コンサルタントが年収交渉を行ってくれます。

リクナビ薬剤師

リクナビ薬剤師

リクナビ薬剤師は、日本の転職市場をリードしてきたリクルートが運営している、薬剤師専門の転職サイトです。

リクルートの本社は東京にあり、資本金は400億円です。

リクナビ薬剤師には、全国の35000件以上の求人情報がある中で、他の転職サイトにはない、大企業の求人もあります。

リクナビ薬剤師にも、転職をサポートしてくれるキャリアアドバイザーがいます。

このキャリアアドバイザーが、リクルートの持つ転職ノウハウを活かして、万全のサポートをしてくれます。

もちろん、年収や待遇など条件交渉もしっかり行ってくれます。

もし、仕事が忙しくてキャリアアドバイザーと連絡をこまめに取れない場合、携帯電話の専用アプリを利用して、求人情報の確認や気になる求人に応募できます。

まとめ

薬剤師の年収は高く安定しているといわれていますが、実際に薬剤師の平均年収は日本人の平均年収よりも高く、年齢とともに上がり続けます。

特に女性は、結婚や出産などの影響があっても、平均年収は年代が上がるに従って、上昇し続けています。

薬剤師でも、転職すればより高い年収を得ることができます。

薬剤師が転職する時は、転職サイトを利用すると、大変便利です。面倒な事務手続きのほか、自分では行いにくい年収交渉までサポートを受けることができますので、転職活動の際は利用をおすすめします。